三菱UFJ銀行の貸金庫から顧客の金品が盗まれた事件。逮捕された元行員は勤務先の支店で犯行に及んだとされています。そもそも貸金庫って何に使うの? 再発防止の手立ては? 素朴な疑問について、Q&A形式でまとめました。 Q 銀行の金庫からたくさんの金品が盗まれたってニュースで聞いたよ。 A 三菱UFJ銀行の元女性行員が、勤務先の支店の貸金庫から顧客の金品を盗んだとして1月、警視庁に逮捕されました。2020年4月ごろから約4年半にわたり、時価総額7億円以上の金塊や、10億円以上の現金を盗んだとみられます。元行員は貸金庫業務を1人で担当しており、その立場を悪用して、支店で管理する「予備鍵」を勝手に持ち出していました。 Q 貸金庫ってどんなサービスなの? A 銀行などの金融機関にある金庫を、契約して借りられるサービスです。主に貴金属や重要な書類などを自然災害や火災、盗難から守るために利用されており、大手3行の契約数は計約40万件にのぼります。銀行は原則預けるものを確認せず、中身は契約した本人にしか分からないため、マネーロンダリング(資金洗浄)や脱税に使われる恐れが指摘されてきました。 Q 再発防止策は進んでいるの? A 事件を受けて、三菱UFJ銀行は支店の貸金庫室内の防犯カメラを増やし、貸金庫への入退室を厳しく管理すると発表しました。予備鍵もすべて本部で一括して管理するとしています。他の銀行でも管理体制を再点検し、ルールを見直す動きが広がっています。 Q 対策には費用がかさみそうだね。 A セキュリティー対策の強化が求められる一方で、貸金庫は「元々それほどもうかるビジネスではない」(大手行幹部)とされます。設備も老朽化しており、貸金庫サービスの廃止に向けた検討も加速しています。みずほ銀行は原則として新たな店舗には貸金庫を置かず、新規契約の受け付けも1月からやめました。三菱UFJ銀行も「撤退も一つの選択肢」(半沢淳一(はんざわじゅんいち)頭取)として、24年度内に一定の方向性を示すとしています。回答・成澤隼人(経済部)