「みちのく記念病院」(青森県八戸市)で、入院患者による殺人を病院側が隠したとされる犯人隠避事件で、患者の男(59)=殺人罪で服役中=が同室の男性を殺害後、当時の院長らが、男を閉鎖病棟に移動させていたことが、県警への取材でわかった。県警は、殺人事件を隠蔽(いんぺい)する目的があったとみている。 犯人隠避容疑で逮捕されたのは、当時の院長の石山隆容疑者(61)と、殺害された男性の主治医だった石山哲容疑者(60)の兄弟。いずれも容疑を否認しているという。 殺人事件は2023年3月12日夜に発生。病院の療養病棟に入院していた男が、同室の高橋生悦(せいえつ)さん(当時73)の目を歯ブラシの柄で突き刺すなどした。高橋さんは翌日、死亡が確認された。 県警によると、両容疑者は、この事件が起きた後に男を医療保護入院させるよう手配し、閉鎖病棟に移していた。 医療保護入院には、精神保健指定医が診察したうえで、家族か市町村長の同意が必要。男については、精神保健指定医の資格を持つ石山哲容疑者が診察したとして、八戸市長の同意を文書で得ていたという。 また、2人は認知症の疑いで同病院に患者として入院中だった80代の医師(のちに死亡)の名義で、高橋さんの死亡診断書を作成するよう、看護師らに指示。この医師は当時、診察や筆記ができる状態になかったことから、県警は死亡診断書を作成したのは別人とみて、医師法違反や私文書偽造の疑いも視野に調べている。 2人の逮捕容疑は、高橋さんの死因を「肺炎」とする虚偽の死亡診断書を作成して遺族に渡し、殺人事件を隠蔽したというもの。(渡部耕平)