米国の石油大手が環境保護団体のグリーンピースを名誉毀損で訴えた裁判の審理が米国時間2月24日に始まった。グリーンピースは、この訴訟が同団体の財政を破綻させる可能性があると述べている。 ダラスに本拠を置くエネルギー大手のエナジー・トランスファーがグリーンピースを訴えた裁判について、陪審員の選定が24日に開始された。この裁判は、5週間続く予定とされている。 石油パイプラインのダコタ・アクセス・パイプライン(DAPL)を運営するエナジー・トランスファーは、このプロジェクトに対する抗議活動によって3億ドル(約450億円)の損害を被ったと主張して、2019年にグリーンピースを提訴していた。 エナジー・トランスファーは、昨年3月にその訴訟を修正し、グリーンピースが「違法かつ暴力的な計画」を主導し、同社に「財務的損害」と「従業員への身体的危害」をもたらし、DAPLの建設を妨害するとともに名誉を毀損したと主張している。 グリーンピースは、これらの主張を否定し、同団体の取り組みが言論の自由を保障する米国憲法修正第1条によって保護されるべきだと主張している。また、エナジー・トランスファーを含む石油大手が、「批判を封じ込め、自社の活動を秘密にするために法制度を悪用している」と非難している。 アムステルダムに本部を置くグリーンピースは、この裁判でエナジー・トランスファー側に有利な判決が下された場合に、同団体が財政難に陥り、50年以上に及ぶ活動に幕を閉じる可能性があると述べている。エナジー・トランスファーが求める賠償金の3億ドル(約450億円)は、グリンピースの年間予算の10倍以上とされる。 エナジー・トランスファーが運営するパイプラインのDAPLは、ノースダコタ州からイリノイ州にかけての約1800キロメートルを結ぶパイプラインで、ルート内に先住民が飲料水源として使用する湖が含まれていることを非難されていた。 先住民は2016年9月にパイプラインの建設を阻止しようと訴訟を起こしたが、失敗に終わった。この訴訟を受けて、環境保護活動家らによる抗議活動が発生し、2016年から2017年にかけて数百人が逮捕されていた。 エナジー・トランスファーは、グリーンピースを含む環境団体が、同社のプロジェクトに関する誤った情報を拡散したことで、少なくとも3億ドル(約450億円)の損害を被ったと主張している。