滋賀県の琵琶湖周辺で17年前、切断された男性の遺体が見つかった事件で、滋賀県警は27日、職場の同僚だった杠共芳(ゆずりはともよし)容疑者(74)を殺人の疑いで逮捕した。杠容疑者は別の殺人事件で懲役25年が確定し、服役していた。県警は動機や経緯を詳しく調べ、事件の全容解明を目指す。 遺体で見つかったのは住所・職業不詳の川本秀行さん(当時39歳)。2008年5~6月、同県近江八幡市や大津市など6カ所で切断された遺体の一部が相次いで発見され、体の特徴などから約10年後に身元が特定された。 杠容疑者は08年5月中旬ごろ、滋賀県内かその周辺で川本さんの首を何らかの方法で圧迫し、窒息死させた疑いが持たれている。県警は杠容疑者の認否を明らかにしていない。 県警捜査1課によると、杠容疑者は当時勤めていた建設会社で川本さんと同僚だった。県警は08年、近江八幡署に捜査本部を設置。延べ5万6300人の捜査員を投入して捜査を進めた結果、杠容疑者の関与が強まったという。 県警は捜査の詳しい経緯は明らかにしていないが、2人の関係性やトラブルの有無などを調べる方針だ。死体遺棄・損壊罪については公訴時効(いずれも3年)が成立している。 杠容疑者は焼き肉店を経営していた18年、川本さんとは別の知人男性(当時69歳)を殺害したとして県警に逮捕された。19年の1審・大津地裁判決は殺人や死体遺棄・損壊など四つの罪で懲役25年を言い渡し、21年に最高裁で確定。岡山刑務所で服役していた。 川本さんの遺族は県警を通じ、「捜査が進展したりしなかったりし、悲しかったし、つらい日を過ごしてきました。逮捕の連絡を聞いてうれしいです」とのコメントを出した。【菊池真由、飯塚りりん】