2月25日、韓国の憲法裁判所では尹錫悦(ユン・ソンヨル)大統領の最後の弁論が行われた。尹大統領は約70分間にわたり、12月3日の非常戒厳令に対する正当性を主張し、弾劾の不当さを訴えた。憲法裁判所で進められていた尹大統領に対する弾劾審判の弁論は同日ですべて終わり、宣告日は後日に指定することとなった。12月3日、非常戒厳令から始まった韓国政界の弾劾政局がいよいよクライマックスに到達したのだ。 12月3日の非常戒厳直後の4日、「共に民主党」など国会で192議席を占めた野党連合軍は、尹錫悦大統領に対する弾劾訴追案を発議したが、在籍議員の3分の2以上(200人)の同意が必要だという壁にぶつかり、最初の弾劾案は否決された。 しかし、尹大統領との不和説が広まっていた韓東勳(ハン・ドンフン)「国民の力」代表が突然弾劾の不可避を主張し、「国民の力」党の内部で韓東勳系派議員を中心に離脱者が続出、12月14日の2回目の表決では弾劾案が国会で可決された。弾劾訴追案は直ちに憲法裁に送られた。当時、憲法裁にはすでに20近くの案件で尹政権の閣僚と李在明(イ・ザイミョン)「共に民主党」代表を捜査している検事などに対する弾劾案の審判が積もっている状況だったにもかかわらず、憲法裁はすべてを後にして大統領弾劾審判に飛び込んだ。 憲法裁は12月27日から2回の弁論準備期間(裁判開始に先立ち、当事者の主張と証拠を明確にし、効率的な裁判を進めることができるようにする手続き)を経た後、1月14日から本格的な審判を開始し、週2回ずつ計10回で証人尋問をすべて終了した。以後、11日目の25日には、弾劾訴追請求人(国会)側と被請求人(尹錫悦大統領)側の最後の弁論を最後に、裁判日程をすべて終えた。国会弾劾が通過した日から計算すれば73日ぶりであり、裁判開始日から計算すれば2ヵ月足らずの超高速進行だ。