韓国の人気音楽グループ「BTS」メンバーのジン(32)に無理やりキスしたとして、韓国の警察が27日までに、性暴力処罰法違反の疑いで日本人の50代の女を立件し、出頭を求めたと韓国メディアが報じたことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏はデイリースポーツの取材に対して、「出頭するか否かは本人の自由意志」と法的な見地から解説した。 ジンが韓国軍除除隊翌日の昨年6月13日、「2024 FESTA」で1000人の「ARMY(アーミー)」と称されるファンと「ハグ会」を実施。参加したファンの大半が整列し、ジンと軽い抱擁を交わしていたが、日本人女性がジンの頰にキスをしようと試みた動画がネット上で拡散され、セクハラ疑惑に発展。この女性は後日、自身のブログで「首に唇が触れた。肉の感触がとても柔らかかった」と投稿し、さらに物議を醸していた。 事件直後、韓国警察は国際刑事警察機構(ICPO)を通じて日本の警察に捜査協力を求め、女性を特定。ソウル・松坡(ソンパ)警察署はこの女性を性暴力処罰法における公共密室場所での痴漢容疑で1月に立件し、出頭を要求したと明かした。だが、日本にいる女性は現地警察からの出頭要求に応じないため、ジンを被害者として調査する案も検討中だという。 では、海外の警察からの出頭要請には強制力があるのだろうか。小川氏は「今の段階で出頭に応じる必要は全くありません」と言い切った。 同氏は「まず韓国の警察が性暴力処罰法で逮捕状を取っていない。今後、逮捕状を取ってICPOを通じて手配をして出頭要請をするとか、韓国の警察から出された『質問顛末書』がICPOを通じて日本に送られ、それを日本警察の国際共助の担当刑事が代わりに質問をして、その書類をICPOを通して打ち返すという方法もある」とした上で、「今のところはあくまでも捜査協力の段階。韓国に行って現地警察の事情聴取に応じてもいいという意志があれば戻ればいいというくらいで、強制力は全くないと思います」と解説した。 さらに、小川氏は国内にいる日本人女性を韓国に引き渡す可能性についても否定。「犯罪人の引き渡し条約は日本と韓国には確かにありますが、逮捕状があり、ICPOを介しての国際手配となり、その逮捕状の罪名が犯罪人の引き渡し条約に該当するか否かによる。そもそも、日本国としては『自国民不引き渡し』の原則があるわけで、日本人を他国に引き渡すことは原則としてありません」と付け加えた。