警察官などをかたって金地金(金塊)をだまし取る手口の特殊詐欺が相次いでいる。警察庁によると、昨年は少なくとも10都府県で21件あった。今年に入っても同様の手口による被害が発生しているといい、警察庁は注意を呼びかけている。 主な手口はこうだ。 電話で警察官を名乗り、被害者の口座が犯罪に使われているとして、「このままでは逮捕することになる」などと告げる。預金で金地金を買わせて、自宅の玄関に置くよう指示し、その後にだまし取る。 昨年は6月以降、山形、宮城、東京、長野、静岡、愛知、京都、大阪、兵庫、宮崎で、21件の被害を確認。京都が5件で最多だった。被害総額は9億円超に上るという。 背景には金の価格の高騰があるとみられる。また、ATMなどでの振り込みをさせずにだまし取るため、金融機関の職員らに被害者が声をかけられづらい点に犯人側が目をつけた可能性もあるという。 警察では詐欺の電話を受けた客が金地金の購入で来店する可能性があるとして、貴金属の事業者などに対して、購入理由を客に確認するよう求めている。実際に詐欺を疑った事業者から警察へ通報があり、被害を未然に防いだケースもあったという。(板倉大地)