逮捕後に不起訴になったのに懲戒解雇されたのは不当だとして、ヤマハ発動機(静岡県磐田市)の元管理職の男性(60)が同社に解雇無効などを求めた訴訟で、静岡地裁浜松支部で和解が成立したことが分かった。関係者によると、同社は懲戒解雇処分を撤回し、約3千万円の解決金を支払うという。 和解は2月28日付で、同社と男性側の双方が和解した事実を取材に認めた。同社は「和解の内容は守秘義務があるので答えられない。コメントも控える」とした。 訴状などによると、男性は2022年4月、覚醒剤が入った小包を海外から受け取ったとして、麻薬特例法違反容疑で静岡県警に逮捕された。同5月には営利目的で密輸したとして覚醒剤取締法違反容疑で再逮捕された。男性は一貫して容疑を否認。静岡地検浜松支部は同6月に処分保留で釈放し、同10月に不起訴処分にしたという。 ヤマハ発動機は、男性が釈放された当日に自宅待機を指示した上で、不起訴処分を待たず、1週間後に懲戒解雇処分を通知した。通知は「捜査当局による(会社への)強制捜査が社員の著しい不安を招き、社内規律を乱した」として、就業規則に抵触するという内容だったという。