知人男性を殺害し、遺体を切断・遺棄した罪に問われている渡部大地被告(32)の裁判員裁判で、検察は4日、懲役20年を求刑しました。捜査段階で渡部被告は、「自分が犯行に及んだ」と話していましたが、その後、「見知らぬ第三者の男による犯行だ」と話すなど、供述内容に変遷があったことがこれまでの裁判で明らかになっています。そして、父を奪われた息子も裁判に出廷しその思いを語りました。 起訴状などによりますと、渡部大地被告(32)は、祖母の家で知人の植木秀俊さん(当時70)を殺害し、その遺体を切断したほか、遺棄したとされています。 2月21日の初公判で、渡部被告は、遺体を遺棄したことは認めましたが、殺人や死体損壊については否認していました。 2月27日から2日間かけて行われた被告人質問で、渡部被告は当日の状況などについて改めて質問されました。 ■「見覚えのない男が叩きつけていた」被告人質問で語ったこと 弁護士から「家に戻ったらどうでしたか?」と問われると、渡部被告は「見覚えのない男が植木さんの顔面をコンクリートブロックでたたきつけていた」と話しました。 その上で ▽第三者の男に気づかれ「殺さないでください。何でもします」と言うと、「今から自分のすることを手伝え」と言われた ▽第三者の男は、黒っぽいジャンパーとズボンに、白いマスクと軍手を着けていた などと述べました。 一方、2月28日の検察側からの被告人質問。逮捕前、家族に対して、自分が犯行に及んだという内容を話していたことについてきかれると渡部被告は「家族にどれほど思われているか確認したかった。受け入れられたので訂正できなかった」と答えました。 ■「本当の父は明るく優しい人でした。命を持って償ってもらいたい」被害者遺族が声を震わせ心情を陳述 その後、被害者・植木さんの息子が心情意見陳述で「行方不明になる直前の夏には、父と祖母が訪ねてきて、楽しい時間を過ごしました」と話しました。