米軍北部訓練場返還跡地の廃棄物問題を訴える目的で、返還地で見つかった空き瓶などの廃棄物を米軍基地のゲート前に置くなどした抗議活動をめぐり、那覇地裁は6日、威力業務妨害など6つの罪に問われているチョウ類研究家に対し5つの罪で有罪判決を言い渡した。 警察官に対する公務執行妨害については無罪とした。 裁判ではチョウ類研究家の宮城秋乃被告(46)が、米軍北部訓練場の返還地で見つかった空き瓶などの廃棄物を基地のゲート前に置いた威力業務妨害や、理由なく空砲を所持した火薬類取締法違反、選挙演説中の立候補者に空砲を投げつけた公職選挙法違反など、6つの罪に問われた。 これまでの裁判で検察側は、宮城被告が「違法行為を繰り返し、我が国の刑事司法を無視している。再犯の可能性は極めて高い」などとして懲役4年を求刑。これに対し弁護側は、道路交通法違反や威力業務妨害、公務執行妨害の3つの罪について「抗議活動の一環」などとして無罪を主張した。 6日の判決公判で佐藤哲郎裁判長は、威力業務妨害の罪について「抗議活動の一環として行為に及んだというが、他に合法かつ代替的な表現手段がある」などと述べ、5つの罪で有罪とし、懲役3年(執行猶予4年)、罰金30万円を言い渡した。 一方宮城被告は、2023年5月、自身に職務質問をした警察官に対し、爆発物を装った不審な所持品の任意提出を拒んだ際、「手荒いことをすると、投げるぞ」などと周囲に危害を加えかねない発言をしたとされ、公務執行妨害の罪にも問われた。 判決で佐藤裁判長は当時の状況についての複数の警察官の供述が変遷していると指摘し、「手荒いことをすると、投げるぞ」という発言があったとは認められないなどとして、この件では無罪とした。 ▼宮城被告を弁護する金髙望弁護士 「公務執行妨害については、ご本人は身体拘束、逮捕までされたわけですけれども、警察官の擦り合わせによる全くの冤罪による逮捕だったということが明確になりました」 弁護側は控訴するかどうかは「未定」としている。