比政界激震、ドゥテルテ家土俵際 長女の副大統領も弾劾裁判へ

【マニラ時事】フィリピン政界の構図は、ドゥテルテ前大統領逮捕で大きく揺らぎ始めた。 2022年の大統領選ではマルコス大統領と、ドゥテルテ氏の長女サラ副大統領が共闘。しかし次の大統領選を視野にマルコス家とドゥテルテ家の間で亀裂が生じ、対立がエスカレートしていた。サラ氏も公金の不正使用疑惑などで弾劾裁判に臨む予定で、ドゥテルテ家は土俵際まで追い込まれた格好だ。 サラ氏は昨年11月、未明に記者会見を開き、「マルコス大統領夫妻らを殺害するため、ヒットマン(殺し屋)を雇った」と発言。マルコス氏も「見逃すわけにはいかない」と応じるなど、両者の溝は決定的になっていた。 就任当初は国際刑事裁判所(ICC)と距離を置いていたマルコス氏だったが、ドゥテルテ氏が同11月、「いつ捜査を始めても構わない」と述べたことを受けて、捜査を容認する姿勢に転じていた。 今回の逮捕で、ドゥテルテ氏が予定していた今年5月のダバオ市長選出馬にも黄信号が点滅。サラ氏も公金不正使用疑惑や殺し屋発言で、弾劾訴追案が2月に下院で可決され、上院で弾劾裁判が開かれることになっている。元検事のドゥテルテ氏はサラ氏の弁護団に加わっていたが、こちらも活動できる見通しは立たなくなった。

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