コロナ禍を経て再び大勢のインバウンド(訪日外国人)が観光に訪れる大阪。その玄関口、関西空港がある大阪府泉佐野市の元「ゲストハウス」をめぐり、ホテル事業者の中国籍の男(55)が違法な増築工事をしたとして、建築基準法違反容疑で府警に逮捕された。 捜査関係者らによると、男は神戸市中央区の会社の代表で、泉佐野市の隣の泉南市でホテル2軒を経営している。 事件の舞台となったのは泉佐野市の住宅街にある3階建ての建物(延べ約680平方メートル)で、同社が2023年8月に購入したものだ。かつては別の事業者が「ゲストハウス」と称した宿泊施設を運営し、外国人観光客らが利用していたという。 逮捕は今月17日付で、男はこの建物の増築工事を24年5月に始める際、府に建築確認申請をするなどの必要な手続きをせず、同10月に工事停止命令を受けた後も3カ月以上にわたり工事を続けた疑いがある。 男は否認し「工事はやめている」などと述べているというが、押収物の中には宿泊施設の施工を前提にした見積書や図面が含まれていたという。府警は、男が新たに宿泊施設を整備しようとしていたとみている。 ■大阪のインバウンド、24年は過去最多 ある近隣住民は取材に「昨夏に(男の)部下らしき女性があいさつに訪れた際、何の工事か尋ねると『民泊をする』と言っていた」と話した。 別の住民は昨春、付近に工事内容を知らせる表示が見当たらないことを不審に思い、府に「違法ではないか」と情報提供をしたという。この住民は増築の過程を敷地外から撮影しており、取材に「特に騒音がひどかった」と振り返った。 大阪観光局によると、24年に大阪府を訪れた外国人の数(推計約1464万人)と、関西空港の国際線の外国人旅客数(約1892万人)は、ともに過去最多となった。泉佐野市によると、市内の24年1月の外国人延べ宿泊者数は3万人超で、コロナ禍の21年1月の約5400人から大幅に増えた。(高井里佳子、小島弘之)