特殊詐欺被害額 前年の11倍・青森県内1~4月

青森県内で特殊詐欺被害が止まらない。今年1~4月の被害金額が前年同期の約11倍となる約2億6738万円に上り、被害件数は約4倍の59件。目立つのは警察官をかたった詐欺だ。電話や交流サイト(SNS)のビデオ通話を用いて、警察官を装い逮捕をちらつかせる。高齢者のみならず幅広い年代が狙われており、県警は「SNSで警察が連絡することはない。不審な電話は一度切り、家族や警察に相談を」と注意を呼びかける。 警察庁は、警察官をかたった詐欺は「おれおれ詐欺」に分類している。県警によると、1~4月に認知した59件の手口のうち、おれおれ詐欺が24件で約4割を占め、全てが警察官をかたった手口だった。次いで、架空請求詐欺25件、還付金詐欺3件、融資保証金詐欺3件と続く。おれおれ詐欺の被害額は1億2534万円で、被害額全体の約半数となっている。 おれおれ詐欺は今年に入って急増。昨年は2件だったが、偽の「警察手帳」や「逮捕状」を提示し、警察官と信じ込ませ、「逮捕されるかもしれない」という不安につけ込む巧妙な手口にだまされる人が後を絶たない。要因として、ある捜査関係者は「逮捕という言葉に動揺し、お金を払えば解決できると思い込んでしまう人が多いのではないか」と推測する。 こうした状況を受け、県警は1日、青森市の東奥日報新町ビルで、対策緊急連絡会議を開いた。県内金融機関や、携帯電話事業者、宅配業者など、水際対策や手口に関わる約40の関係団体が出席した。 県警は会議で特殊詐欺の現状について説明。おれおれ詐欺についてチラシなどを用い、「SNSで逮捕状・警察手帳を見せることはない」と説明した。 野里和保生活安全部長は「最近では国際電話を利用したり、警察署の番号が表示されるアプリを利用した犯行が目立っている。金融機関、郵便局、携帯事業者の皆さまとの連携を密に、官民一体でさまざまな対策を講じていきたい」と語った。 また、県警は5月12日から31日の20日間を「それは詐欺 気を付けて強化期間」として県内全域で詐欺被害防止に向けた取り組みを行う。

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