英独仏ポーランド首脳、ウクライナで10日会談 露への停戦案協議か

英独仏ポーランドの4カ国の首脳は10日、ウクライナのゼレンスキー大統領と首都キーウ(キエフ)で会談する。ウクライナ侵攻を続けるロシアに対し、米欧は30日間の停戦案を近く改めて突きつける方針だ。会談では関連の方策を協議するとみられる。 この4カ国の首脳が同時にキーウを訪問したのは初めてで、ウクライナ支援の姿勢をアピールした。 欧州4首脳は、9日発表の共同声明で「和平交渉のため、ロシアに全面的で無条件の30日間の停戦を要求する」と述べた。これに先立ち、トランプ米大統領も8日、自身のソーシャルメディアで30日間の停戦を双方が承諾するよう訴えた。 30日間の停戦を巡っては、3月に米国とウクライナは合意したが、ロシアが受け入れなかった。 早期の停戦実現を目指すトランプ政権は4月下旬、ロシアによるウクライナ南部クリミア半島の領有を認めるなど露側寄りの内容を含む新たな停戦案を提示した。ウクライナを支える欧州側は反発し、独自の停戦案作成に取り組んでいた。 ロイター通信によると、欧州側と米国は協議を進め、今回の停戦案をまとめた。ロシアが応じなければ共同で新たな制裁を科すという。ウクライナは停戦に応じる姿勢を示すが、ロシアは後ろ向きだ。 ペスコフ露大統領報道官は9日、プーチン大統領は30日間の停戦を支持するが条件付きだと指摘し、「停戦案には数多くの微妙な点がある」と主張した。タス通信の取材に答えた。 一方、欧州約20カ国の外相らは9日にウクライナ西部リビウで会合を開き、ロシアの侵略に関する罪を裁く「特別法廷」設置への支持を表明した。この法廷の構想は欧州連合(EU)が主導し、来年にも発足する見込みだという。 ロシアに対しては、ウクライナから子供を連れ去った疑いなどで国際刑事裁判所(ICC)がプーチン氏に逮捕状を出している。だが、ロシアが加盟国でないため、ICCは侵略の罪を扱うことはできない。 このため、欧州の人権問題などに取り組む国際機関「欧州評議会」の管轄下で新たな枠組みを作り、ロシアの指導者らを侵略の罪で起訴することを目指す。【ベルリン五十嵐朋子】

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