「犯人は、私の下着に鼻をつけ、大きく息を吸い込みました」 夜道で突然、2人の(当時)女子高生に「殺されたくなかったらパンツを脱いで」と迫った伊藤智彦被告(26)。被害者の一人、Aさんは、公判のなかで伊藤被告の犯行についてこう述べた後、「本当に気持ち悪かった」と嫌悪感をあらわにした。 「伊藤被告は’24年9月11日に路上で女子高生Aさんにわいせつな行為をした上で下着を奪ったとして、10月29日に不同意性交等や強盗の疑いで警視庁石神井署に逮捕されました。 その後の捜査のなかで、Aさんが被害に遭う3日前の9月8日にも別の女子高生Bさんが同じような被害に遭っていたことが判明したのです。検察は伊藤被告をAさんに対する強盗と不同意わいせつ、Bさんに対する不同意わいせつ未遂で起訴しました」(全国紙社会部記者) ’25年4月14日から東京地裁で伊藤被告の公判が開かれている。5月8日の第2回公判では、別室に待機した被害者Aさんに対してビデオリンク方式で証人尋問が行われた。まず、検察官の質問に答える形で、Aさんは被害に遭った日のことを語りはじめた。 「その日、学校から帰ってくる途中で、丸顔で眼鏡をかけた男性から突然『何歳?』と声をかけられました。私が『何でですか?』と聞き返すと、左手首をつかまれ、道路の端に連れていかれたのです。ポケットに入れた右手には透明のビニール手袋をしているのが見えました。 そして、『殺されたくなかったらパンツ脱いで』と言ってきました。あまりにも大きな驚きで、犯人が何を言っているのか、理解が追いつきませんでした」 そのとき、一人の女性が近くを通りかかったため、伊藤被告は動きを止めたという。検察官の「その女性に助けを求めなかったのですか?」という質問にAさんはこう答えた。 「助けを求めようと思いましたが、華奢な方で、犯人がナイフを持っていたら刺されてしまうのではないかと心配になり、声を出せませんでした。ただ、その女性が通りかかったおかげで犯人の手が離れたので、その場から早歩きで逃げました」 「なぜ走って逃げなかったのか?」検察官の質問に対するAさんの返答は驚くべき内容だった。 ◆下着に鼻をつけて大きく息を吸い込んだ 「学校帰りで荷物も重く、疲れていたのもありますが、私はこの犯人に以前も会ったことがあると思うんです。その時は『君、何歳?』と聞いてきて、そのままどこかへ逃げていきました。なので、これ以上は追ってこないだろうと考えてしまいました」 しかし、追ってきた伊藤被告に背負っていたリュックをつかまれ、空き地のようなところに引っ張り込まれたという。Aさんはこう続けた。 「犯人が顔を近づけてきて、また『殺されたくなかったらパンツ脱いで』と言ってきました。『何でですか?』と聞いたら、『においを嗅ぎたいから』と言われ、とても気持ち悪かったです。でも指示に従わないと、本当に殺されるかもと思いました」 Aさんが下着を渡すと、冒頭の発言のように、伊藤被告はAさんの目の前で下着のにおいを嗅ぎはじめたという。さらにAさんの下半身を触ったり、顔を近づけて息を吸い込んだりと、わいせつな行為にも及んだ。 ちょうどその時、Aさんの友人が通りかかり、助けを求めたことから伊藤被告は逃走したという。その後、Aさんがその友人とともに交番を訪れ、被害を相談して事件が発覚することとなった。 検察官の「事件後、日常生活に変化はありましたか」という質問にAさんは「使う駅を変えたり、防犯グッズを買いました。怖いので、外出をあまりしなくなりました」と答え、犯人への怒りをにじませたのだった。 「普段、生活しているなかで、突然あの気持ち悪さを思い出すことがあります。犯人のことは本当に許せません。(社会に)出てきた後が怖いので、あまり出てきてほしくありません」 「Aさんの体を触っていないし、殺されたくなかったらという言葉も使っていません」と一部犯行を否認している伊藤被告。次回の公判では被告人質問が予定されている。Aさんの怒りの証言に対して、伊藤被告本人の口からは何が語られるのだろうか──。 ※「FRIDAYデジタル」では、皆様からの情報提供・タレコミをお待ちしています。下記の情報提供フォームまたは公式Xまで情報をお寄せ下さい。 情報提供フォーム:https://friday.kodansha.co.jp/tips 公式X:https://x.com/FRIDAY_twit 取材・文:中平良