東京五輪・パラリンピックをめぐり、大会組織委員会元理事・高橋治之被告(81)=収賄罪で公判中=への贈賄罪に問われた出版大手「KADOKAWA」元会長、角川歴彦(つぐひこ)被告(81)の公判は20日、初めての被告人質問が東京地裁であった。角川元会長は賄賂とされる元理事側への支払いを「知らなかった」などと述べ、改めて無罪を主張した。 公判では、検察側が元理事側への賄賂だと指摘する約6900万円の支払いについて、角川元会長が部下の元専務や元五輪担当室長から報告を受けていたかどうかが争点となっている。 この日は弁護側が質問。「KADOKAWAを大会のスポンサーにするために動いてくれた会社に7千万円を支払うという話を聞いたことがあるか」との質問に、角川元会長は「ありません」と答えた。 贈賄罪で執行猶予付きの有罪判決が確定している元専務と元室長は自身の公判で、元理事側への支払いについて「(角川)元会長は了解していた」などと説明していた。 しかし角川元会長は、自らは権限を持たない役職だったとして「(部下から)報告を受ける立場になかった」と述べた。 起訴状などによると、角川元会長は元専務と元五輪担当室長と共謀し、元理事に大会スポンサーにKADOKAWAを選ぶことや、協賛金を3億8千万円以内に抑えることなどを依頼。その謝礼などの趣旨で2019年9月~21年1月の間に9回にわたり、計約6900万円の賄賂を元理事の知人が代表を務めるコンサル会社に送金したとされる。 角川元会長は22年9月に逮捕され、23年4月に保釈された。否認したことで勾留(身体拘束)が長期化し、身体的・精神的苦痛を受けたとして、国に2億2千万円の賠償を求めて昨年6月に提訴している。(野間あり葉)