贈収賄事件、小泉フィーバー…東京都議選は参院選を映す鏡 12年に一度の熱い夏

今年は4年ごとに改選される東京都議選と3年ごとに半数改選される参院選が重なる12年に一度の年。各党は6月13日告示、22日投開票の都議選を7月に見込まれる参院選の前哨戦と位置づけ、代表が都内各地を応援に回るなど力を入れている。実際にこれまで、両選挙はどれだけ関連したのか。政治資金不記載問題で揺れる現有議席30の都議会自民党を通してみていきたい。 ■60年前も「政治とカネ」 自民党の派閥パーティー券収入不記載問題と同じ疑いが、都議会自民党にも浮上したのは昨年12月のこと。今年2月には令和元、4年分の収支報告書に、政治資金パーティー券販売で議員側が中抜きした分などの収入額約3500万円と、交付金などの支出額約2800万円の計約6300万円を除外して記載したとして、政治資金規正法違反(虚偽記入)罪で当時の会計責任者の有罪が確定した。各立候補予定者は信頼回復に向けて動いてはいるものの状況が好転しているとはいいがたい。 以前にも「政治とカネ」問題が都議会自民党を直撃した例がある。60年前の昭和40年、議長選挙を巡る贈収賄で自民都議15人が逮捕された事件は「都議会黒い霧事件」とも呼ばれ、6月の刷新選挙で自民は前回選での獲得議席69から38にまで数を減らし、第一党の座を社会党に明け渡した。議会は任期途中に解散したため、これ以降、都議選は統一地方選からずれ、単独で参院選と12年に一度重なる現在のサイクルが定着した。 今回の不記載と贈収賄を同列に扱うことはできないが、都民が抱いた自民への不信感はこの都議選の直前に行われた第7回参院選の結果にも見て取れる。自民党は前回並みの議席は維持したものの、東京選挙区では2つあった議席を失った。 ■内閣人気が影響も 逆に、国政の勢いがそのまま都議選に現れたケースもある。平成13年4月、小泉純一郎政権が誕生。一時、産経などの世論調査で80%を超える驚異的な支持率を記録した新首相の人気を背景に、都議会自民党は公認候補55人を立て、53人が当選する大成功に終わった。この結果に、当時の石原慎太郎知事は「自民、公明にとっては小泉大明神でしょう」と指摘。その後も、地方遊説中の小泉氏の乗った列車が、駅にとまるたびにホームに人があふれるなど「小泉フィーバー」は続き、1カ月後の参院選では改選過半数を獲得した。 それから24年後。都議会自民党の幹部の一人は、自分たちの置かれた状況について、「もう、有権者にお一人ずつ頭を下げていくしか道はない」と固い表情で口にする。

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