交流サイト(SNS)を悪用した詐欺被害は横行している。昨年全国で発生したSNS型投資・ロマンス詐欺の被害額は1日平均約3億5千万円。年間にして1268億円の被害で、前年から800億円以上も増加する深刻な状況だ。中でも認知件数のワーストは大阪、次いで兵庫、と関西での被害が目立ち、さらなる対策強化が求められる。 警察庁によると、昨年発生したSNS型投資・ロマンス詐欺の認知件数(暫定値)は1万164件。被害額は前年より812億円も増加した1268億円で、単純に日割りすると1日3億4644万円となる。 非対面でやり取りするSNS型詐欺は、従来のオレオレ詐欺や還付金詐欺といった「特殊詐欺」と被害傾向も異なっている。 特殊詐欺の被害額は昨年721億円。認知件数は東京が最多で、大阪、神奈川と次いで大都市圏に被害が集中する。一方、SNS型詐欺は大阪が最多で1016件、次が兵庫の913件と関西が続き、東京はワースト3位。福岡や広島の被害も多く、特殊詐欺と比べると発生場所が分散している傾向だ。 特殊詐欺の被害者心理に詳しい日本大学危機管理学部(社会心理学)の木村敦教授は「SNS型詐欺は、被害者の居住地を選ばず一斉に大量のメッセージを送信するのも影響しているのかもしれないが、明確な要因はわからない」とする。 ■「詐欺師」にとって有益ツール メッセージのやり取りのみで多額の金をだまし取るSNS型詐欺。近年ではSNS上に有名人の画像を無断で使用する「なりすまし広告」を利用して噓の投資話に誘い、金をだまし取る手口も相次ぐ。翻訳アプリや生成人工知能(AI)の発達も追い風になっており、専門家は「非対面で信頼関係を醸成するSNSは、詐欺師にとって有益なツールだ」と指摘する。 《プロフィールを見て魅力的に感じました。もしよければお友達になりませんか》 スマートフォンにこんなメッセージが現れた。大阪府立都島工業高校のコンピュータ研究部が4月、大阪府警の依頼を受けて制作したSNS型ロマンス詐欺の体験ツールの一幕だ。LINE(ライン)で行われた会話は、映画や読書など趣味の話で盛り上がりながら最終的にプロポーズとともに結婚資金の無心をされるところまで続く。 ■信頼関係を構築し…