生物学的病原体の密輸試みた疑い、中国人研究者2人を訴追 米検察

(CNN) 米ミシガン大学の実験室で研究する目的で生物学的病原体の密輸を試みたとして、中国人研究者2人が訴追されたことが、3日に提出された訴追請求状で明らかになった。 ミシガン州東部地区連邦検察によると、ジアン・ユンチン容疑者(33)とリウ・ズンヨン容疑者(34)は、中国から「フザリウム・グラミネアルム」と呼ばれる真菌を持ち込んだとして、共謀や密輸、虚偽申告、ビザ(査証)関連詐欺の疑いで訴追された。 連邦捜査局(FBI)の宣誓供述書ではフザリウム・グラミネアルムについて、トウモロコシやコメ、大麦のような特定の植物に病気を引き起こす「潜在的な農業テロ兵器」と形容されている。「毎年世界中で数十億ドル規模の経済損失をもたらしている」とされる。 今回の訴追は、トランプ政権が中国人留学生のビザを取り消す方針を示す中で行われた。ルビオ国務長官は先週、特に「中国共産党とのつながりが疑われたり、重要分野を専攻していたりする」学生が対象になると説明。国務省はここ数ヶ月、米国内の学術関係者による不正行為の可能性を調査しており、その中にはカエルの胚のサンプルを密輸したとされるハーバード大学の研究者も含まれている。 FBIのパテル長官はX(旧ツイッター)への投稿で、今回の事件は「中国共産党が工作員や研究者を米国の機関に潜入させ、我が国の食料供給を標的にしようと躍起になっている現状をまざまざと示すものだ。重大な影響を及ぼす可能性がある」と指摘した。宣誓供述書では、フザリウム・グラミネアルムを研究する意図が何だったのかについては詳しく触れられていない。 CNNはジアン容疑者を担当するミシガン州東部地区の連邦公選弁護人にコメントを求めている。ジアン容疑者はFBIによって逮捕され、現在も勾留中。検察の報道官によると、リウ容疑者は現在米国にはいないという。 宣誓供述書によると、リウ容疑者は中国・浙江大学の研究者で、2024年7月に観光ビザで渡航した際、フザリウム・グラミネアルムの複数のサンプルを持ち込もうと試みた。持ち込み許可は申請していなかっとされる。 ジアン容疑者はリウ容疑者の交際相手で、ミシガン大学の博士研究員。22年8月からはテキサス州の大学でも働いていた。両大学に在籍中、浙江大学でのフザリウム・グラミネアルムの研究を巡り中国政府から資金提供を受けていた証拠が見つかったという。

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