警視庁公安部と東京地検の違法捜査による冤罪(えんざい)が判決で確定した、横浜市の機械メーカー「大川原化工機」の大川原正明社長が20日配信のABEMA報道番組「Abema Prime」に出演。警察幹部から受けた謝罪について言及した。 番組では、警視庁の鎌田徹郎副総監や東京地検の森博英公安部長が会社を訪れ謝罪したことを伝えた。その際、鎌田副総監が元取締役の島田順司さんの名前を「山本様」と誤ったとみられることなども伝えた。 大川原社長は警察の謝罪について「来てくれた、という意味では、我々としては、一応の評価はしています。ただ、もう少し突っ込んだ謝罪の内容にして欲しかった、という思いですね」とコメント。一方「我々だけじゃなくて、従業員の前で謝罪の話をしてくれたので、それは1つ、良かったなと思っています」とした。 大川原社長は、謝罪に具体的な内容が少なかったことを指摘。さらに名前の間違いについて「会社の名前とか人の名前を間違えることは仕方がない部分はあるんですけど、通常はどこかに謝罪に行ったりする時は、文書に書いて持っていく。それをお渡しする、というのが通常の礼儀かなと思うんですけど、どうも、そういうところがない、というか」と語った。続けて「相手に対する尊厳みたいなものを持っているか持っていないか、ということなんですね。人質司法をするのが当たり前に思っていることと、そうではないという人と」とした。 332日に及ぶ勾留で「人質司法」が問題化した点も触れられた。捜査中も、自身への尊厳は感じられなかったか、という問いに、大川原社長は「全く(感じられなかった)」とうなずいた。取り調べについて「いわゆるストーリーを初めに作っていて、そのストーリーに沿った調書を作る、というやり方。任意の取り調べで40回を超す。1回が4時間ぐらいの取り調べをやって、調書が10通ぐらいできているので、4回に1回ぐらい平均するとできている」とし、サインの際には「全部チェックできない」状況だったとした。 大川原社長ら3人は2020年、生物兵器製造に転用可能な装置を無許可輸出したと疑いをかけられ、外為法違反容疑で逮捕・起訴された。拘留中には、元顧問の相嶋静夫さんの胃がんが発覚。被告の立場のまま、21年2月に72歳で亡くなった。地検は同7月に捜査内容に疑義が生じたとして起訴を取り消した。相嶋さんの遺族は、今回の謝罪の場への同席を拒否した。