川崎の事件が影響か 山梨県警、ストーカー被害の相談が増加

山梨県警に寄せられるストーカー被害の相談が増えている。県警がまとめた暫定値によると、相談の認知件数は1~4月が月平均13件だったのに対し、5月は23件だった。川崎市で同1日、ストーカー被害を訴えていた女性が遺体で見つかった事件が影響したとみられる。 県警によると、1~5月に寄せられたストーカー被害の相談は計76件。4月までは各月10~15件で推移していた。ストーカー規制法に基づく「禁止命令」も1~4月は計3件だったが、5月は1カ月で3件。同法違反の疑いで容疑者が検挙された事件も1~4月に計3件、5月は4件と、いずれも増加した。県警は「川崎市の事件が、相談を迷っていた被害者に影響した可能性はある」とみる。 ストーカー被害者が犠牲になる事件は各地で相次いでいる。被害を免れるには「迅速な相談が大切」と、ある警察関係者は強調する。都留市内で昨年6月、30代男性がストーカー規制法違反容疑などで逮捕された事件では、被害を受けたとされる女性が警察にすぐ相談し、スピード逮捕につながった。男性は当時の警察の調べに「死ぬ前に自分の好意を伝えたかった」などと話し、精神的に危険な状態だったという。相談が早かったことが奏功した形だ。ただ、同じ関係者は「元交際相手や過去に夫婦関係にあった相手からストーカーを受けた場合、被害者が相談をためらうケースもある」とも話す。 川崎市の事件では、女性は警察に被害を訴えたにもかかわらず遺体で見つかった。警察庁は都道府県警への通知で、この点を「重く受け止め」た上で、「認知した段階では危険性や切迫性を正確に把握することが困難である一方、事態が急展開して重大事件に発展するおそれが極めて高い」と明示し、被害者の安全確保を最優先とすることを求めた。 県警は「ストーカー被害は、一人で相手と対峙(たいじ)して解決するのは困難で危険を伴うこともある。速やかに警察に相談してほしい」と呼びかけている。【杉本修作】

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