警察・検察、公開謝罪の場で「名前」「社名」を間違える…決定的瞬間 大川原化工機 冤罪事件

大川原化工機事件の公開謝罪で、名前を間違えるハプニングがあった。 警視庁の鎌田徹郎副総監は「大川原さま、ヤマモトさま、亡くなられた相嶋さま、およびそのご家族さま、そして社員の皆さまに対して、当庁の捜査により多大なご心労、ご負担をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした」と謝罪したが、該当する関係者のなかに「ヤマモト」という人物はいない。 大川原化工機事件とは、生物兵器を作れる機械を無断で輸出したなどとして社長ら3人が逮捕・起訴されたが、検察が異例の「起訴取り消し」とした冤罪事件。社長らは無実の罪で11ヶ月に及び不当に長期拘束、一時会社は倒産の危機に見舞われた。なかでも、拘留された相嶋静夫元顧問(当時72歳)は、がんを発症するも適切な治療を受けられず、8回の保釈請求も認められずに亡くなった。 この事件をめぐっては、捜査側のでっち上げ、さらには違法捜査が指摘されてきた。冤罪事件をめぐる訴訟で、逮捕・起訴を違法とした東京高裁の判決が確定。一審同様に警視庁と地検が必要な捜査を怠ったとして、逮捕・起訴を違法と認定。東京都と国に合わせて1億6600万円の賠償を命じた。 この判決を受け、警視庁と検察幹部が大川原化工機本社を訪れ公開謝罪したのが6月20日。大川原社長と同じく冤罪で逮捕された、島田順司元取締役が出席した。「大川原さま、ヤマモトさま、亡くなられた相嶋さま」という発言については、警視庁副総監が島田さんをヤマモトさんと言い間違えたとみられる。 さらに東京地検幹部の森博英公安部長は「亡くなられた相嶋さま、そのご家族の皆様方。そして、大川原化工機“工業”株式会社の」と、会社名まで間違えていた。 その後、森氏は「私の言い間違えでございます。そこは申し訳ありません」と謝罪。鎌田氏は記者の「いま(間違えたことに)気がついたんですか?」という質問に「はい」とコメントした。 原告代理人の高田剛弁護士は「実は副総監は最初は来る予定じゃなかった。前々日電話がかかってきて『今回、行く人が変わりました』ということで、急遽副総監が来ることになった」と経緯を説明。 「全然関係ないポジションから、今年警視副総監になっているので大川原化工機事件について、正直あまりご存じでなかった」「おそらく緊張もあったんだろう。いざあそこの場所に立ったら……たぶん、彼は原稿を持っていなかった。あそこの場所に立ったらパッと白くなってしまったのかな」と続けたが「謝罪の場というのは謝罪する相手に対する気持ち、考えを表明する場なので、そのなかで相手の名前を間違えるというのは、非常によろしくない」と苦言を呈した。 一方、亡くなった相嶋さんの遺族は謝罪を受け入れないとして欠席。高田弁護士は「相嶋さんはそういうことではなくて、事実をちゃんと検証して受け止めて、悪いことをした事実について謝罪してほしいというのが強い考え。現時点では、そういう抽象的な謝罪というのを受ける気持ちには到底なれない」と説明。 「一つの謝罪としては区切りになるけれども、これで終わりにしてはいけない。こういうことを二度と起こしてはならない、というのが彼の使命。やはり国民全体が見守る必要があるのではないかと思う」と訴えた。 (『ABEMA的ニュースショー』より)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加