「今回の株主総会には、多くのスポンサーが拍子抜けしていますよ。さらに、オンラインカジノ問題が発覚したことで、企業としての幼稚さを露呈してしまいました」(大手広告代理店関係者) 6月25日に開催されたフジテレビの親会社「フジ・メディア・ホールディングス(以下、フジHD)」の定時株主総会。対立する米投資ファンドの「ダルトン・インベストメンツ」が提案していた12人の役員案は否決され、“人事” ではフジHDの勝利となったが、肝心の中身は及第点とはいかなかったようだ。 それを如実に表わしたあるデータを本誌は入手した。大手広告代理店が、フジテレビにCMを出稿していたクライアント750社におこなったアンケート結果である。前出の代理店関係者が解説する。 「『フジHDの株主総会を評価するか』という問いに対して、『おおいに評価する』が6.5%、『評価する』が13.7%と約2割ほどしか評価していません。一方で『評価しない』35.8%、『まったく評価しない』15.2%と、5割超が不満という結果となっています」 6月27日には、大和ハウス工業とサントリーが7月からのCM出稿再開を発表したが、フジテレビにとってショッキングだったのは、いまだ多くの企業が再開に難色を示している現実だ。 「『CMの出稿を復活させるか』という問いに対して、『すぐに復活(復活している)』が8.5%、『復活を検討する』が10.5%。それに対して、『もう少し情勢を見る』23.5%、『今のところ予定はない』44%、『今後も出稿しない』10.5%と、78%の企業が “NO!” と回答。今回の調査は、出稿担当者におこなったもので、企業としての決定ではないものの、厳しい結果となりました」(同) 株主総会後の会見で、清水賢治社長は「経営体制は刷新され、改革アクションプランを実行する環境が整った」と意気込みを口にした。長年、フジテレビと取引のある芸能事務所関係者は、“改革アクション” の一端をこう語る。 「つい先日、鈴木吉弘執行役員の名義で手紙が届いたんです。《一連の事案により、多くの皆様にご迷惑とご心配をおかけしております》と、いわゆる “中居問題” について謝罪したうえで、社内の体制と姿勢を見直した結果、《これまでの季節のご挨拶を本年より謹んで取り止めさせていただくことといたしました》と書いてありました。要するに、“もうお中元は送りません” ということですね」 実際、フジテレビの社員とはのつき合いも減ったという。 「飲み会禁止令が出ているようで、いっさい会食はなくなりました。酒席でのトラブルが起きないように、根本から原因を絶とうということでしょうね。お中元という習慣的な贈答品なども、“癒着” を生む可能性があるということでやめるのでしょう。 テレビ業界といえば “コネがすべて” の時代もありましたが、まさかここまで変わるとは……。 あとは、タレントに直接連絡してくるスタッフもいなくなりました。何度も同じ番組に出演すると、マネージャーを通さずに直接話をつけて、事後報告的に事務所に連絡してくるスタッフがいたのですが、こうした馴れ合いも禁止されたのでしょう」(同) そんな道半ばの改革に水を差したのが、常習賭博の疑いで逮捕された敏腕プロデューサー・鈴木善貴容疑者の事件だ。フジテレビ社員が怨嗟の声をあげる。 「中居正広の件が尾を引いているのに、今度は社員がオンラインカジノで逮捕でしょう。もう、踏んだり蹴ったりですよ。これまで、芸人やプロ野球選手など、オンカジに手を染めた人は書類送検どまりでしたが、鈴木容疑者は逮捕に至りました。そのため、うちの社員はより悪質だという印象になっています。もう、社名を名乗って取材することが恥ずかしくなりますよ」 株主、クライアント、社員、さらに視聴者からも批判が相次ぐフジテレビ。再生の道のりは険しい。