「民主主義が揺らぐ」 現場で市民ら献花 安倍元首相銃撃から3年

安倍晋三元首相(当時67歳)が奈良市で参院選の応援演説中に銃撃され死亡した事件は8日、発生から3年を迎えた。 事件現場となった奈良市の近鉄大和西大寺駅前には有志団体による献花台が設けられた。 今年は選挙期間中であることを踏まえ、トラブル防止のため献花台の規模が縮小された。安倍元首相の遺影が路上から見えないようにする措置も講じられた。 それでも朝早くから市民らが立ち寄り、花を手向けた。 奈良市の無職、渡辺孝史さん(63)は「政治家の命が事件で奪われれば、民主主義が揺らぎかねない」とし、京都市の大学生、野田怜さん(21)も「選挙中に政治家が事件で亡くなるのは、これで最後にしてほしい」と語った。 事件では、山上徹也被告(44)が逮捕・起訴され、10月28日に奈良地裁で裁判員裁判の初公判が開かれることが決まっている。 山上被告は現在、大阪拘置所に勾留されている。弁護人によると、新聞を読んで時間を過ごしている。 中東情勢に関心を持っていた時期があり、理由について「宗教問題が根にあるからだ」と説明。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散を命じた3月の東京地裁決定を話題にしたこともあったという。 奈良県五條市の無職、山本一子さん(74)は「どんな気持ちで事件を起こしたのか、正直に語ってほしい」と話した。 起訴状によると、山上被告は22年7月8日午前11時半ごろ、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で手製銃を発砲し、安倍元首相を殺害したとされる。 殺人罪、銃刀法違反のほか、武器等製造法違反、火薬類取締法違反、建造物損壊罪にも問われている。【田辺泰裕、木谷郁佳、山口起儀】

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