中古車取引の多くは業者間オークションや販売店同士の取引が主流となっている。これは、自動車販売業者が専門のオークション会場や業者向けネットワークを通じて中古車を仕入れ・販売する形式であり、一般消費者が直接関与する機会は少ない。 しかし近年は「個人間取引」の比率が高まり、古物営業法の適用範囲をめぐって議論が生じている。古物営業法が定める ・営利目的 ・反復継続 という判断基準は明確ではない。警察庁の通達でも 「個別具体的に判断する必要がある」 としているが、数値的な基準は示されていない。最高裁判例では、「営利の目的で」「反復継続して」「営む意思を持って」古物を売買する場合、たとえ1回の取引でも営業に該当すると明記されている。問題は、こうした判断をどのように解釈するかにある。 個人の取引であっても、販売業者と見なされる可能性がある。警察庁の通達によれば、 ・古物の価格 ・取引頻度 ・収益の使用目的 などを総合的に判断し、営利目的の反復取引と認められれば古物営業に該当する。つまり境界線は曖昧で、自己判断は危険だ。 さらにネット取引の増加によって、本人確認の問題も深刻化している。古物営業法では取引相手の本人確認が義務付けられているが、匿名性の高いプラットフォームでは確認が難しい。警視庁は 「ネットオークションやフリマアプリでも相手方確認は必要」 と明言しており、いらない物を売っただけと考える個人でも、状況によっては営利目的と判断される可能性がある。本人にその意図がなくても、ビジネス目的と見なされれば古物商に該当する。 法律上、たった1回の取引であっても営業とされる場合があるため、これくらいなら大丈夫という判断は避けるべきだ。違反した場合、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されるリスクがあり、さらに5年間は古物商許可を取得できなくなる。