カンボジアで拘束された日本人29人が詐欺未遂の疑いで愛知県警に逮捕された事件。特殊詐欺拠点の異様な実態が明らかになってきました。 きのう、愛知県の中部空港で到着ロビーに姿を現したのは、カンボジアから移送され、捜査員に連行される日本人の男女。その多くが顔を下に向けています。 洋服で口元を隠す男や手で顔を覆う男も。カンボジアから移送されたためかTシャツや短パン姿が目立ちます。記者からの問いかけには誰も答えず、中にはブルーシートで姿を隠された19歳のメンバー3人の姿も。 逮捕されたのは、19歳から53歳までの日本人の男女29人。 ことし5月にカンボジア北西部の都市ポイペトで、警察官などになりすまして東京都に住む64歳の男性にうその電話をかけ、現金をだまし取ろうとした疑いがもたれています。 ■海外から一度に移送される人数では“過去最大規模” 愛知県警は、詐欺拠点から帰国した県内に住む21歳の男性の証言をもとに捜査し、80人の捜査員を現地カンボジアへ派遣。 引き渡された29人は、きのうの朝にカンボジアの空港に到着。一人一人バスから降りてきます。29人全員が降りるまでかかった時間は約5分。海外から一度に移送される人数としては過去最大規模です。 特殊詐欺の拠点となっていたカンボジアの施設、その中は一体どんな状況だったのでしょうか? 愛知県警の捜査で、その異様な実態が明らかになりました。29人はSNSで「お金が稼げる」と勧誘されるなどしてカンボジアに渡航。拠点は数人の中国人に管理され、出入り口には武装した警備員が立ち外出を制限されていました。 セリフなどが書かれたマニュアルを暗記させられ、詐欺の電話を一日中かけ続けていたとみられています。 ■詐欺の成功率を上げるため「反省会」も さらに一日の終わりには「反省会」も。録音した詐欺電話の内容を、かけ子同士で聞いて反省点を出し合い、どうすれば詐欺の「成功率」が上がるかを話し合っていたといいます。 警察は押収したスマートフォンなどの解析から、このグループがことし5月までの4か月で約14億円の詐欺に関与したみて実態解明を進める方針です。