25日の韓米首脳会談を控えホワイトハウス内外は蜂の巣をつついたたように揺れた。トランプ米大統領が首脳会談3時間前にした交流サイト(SNS)への投稿が発端となった。 トランプ大統領はこの日午前9時20分ごろ、トゥルースソーシャルへの投稿を通じ「韓国でどんなことが起きているのか。粛清か革命が起きたようだ」とした。続けて「われわれはそれを受け入れられず、そこで事業することができない。私はきょうホワイトハウスで(韓国の)新しい大統領に会う」と付け加えた。 この日午後12時15分(日本時間26日午前1時15分)に予定された韓米首脳会談を2時間55分後に控えたタイミングだった。トランプ大統領の爆弾発言はすぐに波紋を引き起こした。首脳会談が予定されたホワイトハウス周辺には一瞬緊張感が漂い、韓国大統領室ではトランプ大統領の発言の正確な真意を把握するため慌ただしく動き始めた。 当初この日午前10時に予定されていたトランプ大統領の大統領令署名行事は50分ほど過ぎた10時50分に始まった。署名行事中にトランプ大統領は投稿の趣旨を尋ねる取材陣に「韓国の新政権がこの数日にわたり教会に対し非常に残忍な急襲を行い、さらにわれわれの軍事基地にまで入って情報を収集したと聞いた」と答えた。その上で「真実なのかどうかわからないが確認してみる。新大統領が数時間後ここに到着する予定」と説明した。 トランプ大統領の「教会急襲」と「米軍基地情報収集」発言をめぐっては、韓国内の特検捜査状況を取り上げたものではないかとの解釈が出てきた。殉職海兵特検チームは先月、極東放送理事長のキム・チャンファン牧師と汝矣島(ヨイド)純福音教会のイ・ヨンフン牧師の執務室と自宅に家宅捜索に入った。海兵隊第1師団長救命ロビー疑惑を究明するためだった。 これとともに内乱特検は先月京畿道平沢(キョンギド・ピョンテク)の烏山(オサン)基地内にある韓国空軍の中央防空統制所(MCRC)を家宅捜索した。「平壌(ピョンヤン)無人機浸透」疑惑を調査するためだった。烏山空軍基地は韓米が共同で使う。これに対し特検は「空軍基地の家宅捜索は部隊司令官の承諾の下に行われ、米軍や米軍の資料は家宅捜索の対象ではなかった」と説明した。 それでもトランプ大統領が首脳会談を1時間後に控えてこれを取り上げたのは、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領夫妻に対する検察の捜査に反発する韓国国内の保守陣営とこれに同調する米国内の支持者に影響を受けたのではないかとの見方が出ている。第1次政権当時に駐デンマーク大使を務めたアメリカファースト政策研究所(AFPI)のカーラ・サンズ副議長(エネルギー・環境担当)は、韓米首脳会談を1週間後に控えた18日、保守指向メディア「デイリーコーラー」への寄稿を通じ、「6月の大統領選挙で圧倒的に当選した李大統領は尹前大統領を拘禁し、終身刑をちらつかせて威嚇しており、彼の妻を腐敗容疑で逮捕した」として尹前大統領夫妻に対する特検捜査を強く批判した。 ホワイトハウスの大統領執務室で行われる大統領令署名行事はトランプ大統領がサインを終えた後に現場取材陣と即席で多様な懸案をめぐり問答する時間を設けるが、通常1時間以内に終えられる。この日は午前10時50分に始まった行事は78分後の午後12時8分に終わった。 当初この日正午にトランプ大統領がホワイトハウスに到着する李在明大統領を歓迎し、12時15分から首脳会談を行う予定だった。しかし大統領令署名行事が遅れて始まった上に通常より長引き、李大統領歓迎行事、首脳会談が後ろ倒しされた。韓米首脳会談を控えて流れる乱気流と無関係でなかったのではないかとの見方が出てきた。 首脳会談を3時間後に控え韓国の政治状況を問題にするような趣旨の投稿をソーシャルメディアに上げたことや、首脳会談直前の行事が遅れて会談まで順延されたのは前例がほとんどない異例の状況だ。トランプ大統領の爆弾発言は首脳会談を控えて繰り広げられた両国実務陣間の議論過程が乱気流を見せた流れから出たもので影響は相当にある。 米政府当局が在韓米軍の戦略的柔軟性を含んだ韓米同盟の現代化、在韓米軍防衛費分担費用と国防費拡大、韓国が関税交渉で約束した対米投資ファンド3500億ドルの明文化と直接投資拡大などをめぐり韓国政府を強く圧迫し詰めの調整が難航している雰囲気が感知された。トランプ大統領が「最大限の圧迫」を通じて韓国から多くの成果を引き出そうとする特有の交渉戦略の一環ともみられる。