【09月01日 KOREA WAVE】韓国では前代未聞の事態が起きている。韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)前大統領と妻キム・ゴニ(金建希)氏がそれぞれ内乱・不正疑惑で起訴され、同時に収監された。歴代政権でも例を見ない展開である。 ただ、両者の対応は大きく分かれている。ユン前大統領は特別検察官による召喚を拒み続け、健康上の理由を挙げて裁判にも出廷せず、実質的に審理は不在のまま進んでいる。 一方のキム・ゴニ氏は「特検調査に誠実に出席する」と述べ、拘束起訴後も裁判に臨む姿勢を明らかにした。 注目されるのは、二人が共に「月」にまつわる表現で無実を訴えている点だ。 キム・ゴニ氏は「最も暗い夜にも月明かりが輝くように、真実を見つめながらこの時間を耐える」と語り、自らの潔白を「月光」にたとえた。 ユン前大統領も2025年2月の弾劾審で「内乱疑惑は実体のないものだ。まるで湖面に映る月影を追うようだ」と発言している。 ユン前大統領は内乱の首謀罪などで再拘束されて以降、特別検察官による強制連行の試みや逮捕状執行にも激しく抵抗し、調査は進んでいない。さらに職権乱用や公務執行妨害で追加起訴された事件も、側近が期日変更を申請し公判準備すらできていない状況だ。 法務省は「収監先のソウル拘置所で必要な医療措置を取っており、健康状態は深刻ではない」と説明している。 一方、キム・ゴニ氏は7月の拘束後初めて外部に立場を公表し、「国民に心配をかけ申し訳ないが、言い訳せず裁判に臨む」と明言。弁護団も積極的な対応を打ち出しており、特検と裁判所による実体解明が進むとの見方が広がる。 この対照的な姿勢に対し、野党「国民の力」元報道官のキム・ヨンジュ氏は「夫婦そろって『月』を持ち出す姿は“夫唱婦随”(夫が言い出して、妻がこれに従うこと)のようだが、大統領とその妻として国民を苦境に陥れた責任を深く省みるべきだ」と批判した。 両者の戦略の差異は、今後の裁判の行方を左右する要因として注目されている。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News