なぜ4児の父は強盗致死事件の犯人となってしまったのか…。2024年2月に仙台市青葉区の住宅に侵入し、住人の男性に暴行を加え死亡させたうえ現金を盗んだとして逮捕・起訴された男の裁判員裁判が8月26日、仙台地方裁判所で始まった。元妻も証人として出廷、加害者家族の悲痛な思いと懺悔が語られた。 強盗致死などの罪で起訴された仙台市宮城野区の佐藤加寿也容疑者(45)は、雪が降っていた2024年2月21日の正午頃、仙台市青葉区の大塚修さん(当時72)夫婦が暮らす住宅に侵入し、在宅していた修さんに暴行を加え死亡させたうえ、現金約1400万円を奪って逃走したとされる。佐藤被告は約9か月後2024年11月に逮捕され、その後起訴された。 8月26日。仙台地方裁判所で佐藤被告の初公判が始まった。うつむきながら入廷した佐藤被告は短髪で、髪の毛には白髪が目立っていた。白いワイシャツと黒いズボンを着用し、眼鏡をかけていた。住居侵入・強盗致死の罪に問われている佐藤被告は起訴内容について全面的に認め、事実関係は争わないとした。 ■犯行の道具を100円ショップで 秋田県出身で、事件当時リフォーム業に従事していた佐藤被告。修さん宅に多額の現金があることは、2023年6月にリフォーム工事に入った際に知ったという。その後、2024年2月15日には、階段工事のため一人で修さん宅を訪れていた。 その翌日に佐藤被告は犯行に使用した道具を100円ショップで購入し、修さんの住宅近辺を徘徊していた。事件前日の2月20日にも周辺を徘徊していたことが確認されている。事件当日2月21日は仕事がなく、午前中から周辺を徘徊していたという。 修さん宅の駐車場に車がないことを確認し、呼び鈴を押しても人が出てこなかったため、鍵がかかっていなかったドアを開け侵入した。しかし、玄関には修さんが立っていた。鉢合わせた二人は取っ組み合いになり、被告はその過程で両者とも気を失ったと主張している。修さんは佐藤被告の暴行により死亡した。一方、意識を取り戻した佐藤被告は現金約1400万円を強奪。うち300万円を使用し、残りの一部は、事件について伏せながら家族に渡していたとされる。裁判の争点について検察側は、1.犯行の悪質性、2.犯行の計画性、3.結果の重大性、4.意思決定に対する非難性、の4点を挙げた。弁護側は起訴内容を認めながらも、被告は盗んだ金額の大半を遺族に返済していて、反省の意思と更生の可能性があると擁護。量刑については争う構えを見せた。