【解説】”地面師詐欺”事件 大阪・ミナミの不動産取引で約14億円被害 指示役の男が起訴内容認める

いわゆる「地面師」に、14億円あまりをだまし取られた事件で、犯行グループの指示役だったとみられる男の裁判が4日始まり、男は起訴内容を認めました。 頭を丸め、厳しい表情で法廷に現れた福田裕 被告(53)。 裁判長 「事実に間違いはありませんか」 福田裕 被告 「ありません」 約14億5千万円をだまし取ったとする起訴内容を認めました。 巨額の金をだましとったとされる事件。その手口は……。 「地面師詐欺」とは、土地や建物の所有者になりすまし、架空の不動産売却を持ち掛け、現金をだまし取る詐欺のこと。今回なりすましの対象となったのは、大阪・ミナミの不動産を持つ会社の代表でした。 福田被告と同じく逮捕・起訴された、粂陵平 被告(25)が、なりすましへの口火を切ります。 粂被告は、区役所でニセの借用書を提示し、不動産会社代表の住民票の写しを入手。これを基に偽造された免許証などが使われ、最終的に、会社の“登記”も書き換えられました。粂被告は、代表となり、登記上“本物の所有者”になったのです。 去年3月、購入を申し込んだ企業に対し、粂被告は……。 粂陵平 被告 「おばあちゃんから好きにしていいと言われて引き継いだ会社です」 交渉の場には司法書士も同席していましたが、ウソは見破られず、14億円あまりの代金は、ほぼ現金で支払われたということです。 福田被告らにだまされる被害に遭いかけた、別の企業の男性が取材に応じました。 取引を持ちかけられた不動産会社役員 「すごい有名な土地なんで、テンション上がりました」 去年1月、仲介業者から大阪・ミナミの一等地のビルの売却話を紹介されたといいます。 福田 被告 「3つの不動産を5億5000万円で売却したい。5000万円を手付金としてほしい。身内でゴタゴタしているんで、水面下でその話を進めたい」 取引を持ちかけられた 別の企業の役員 「破格ですよね。ほしい物件で、しかも安いと。ワケアリと聞いて水面下でスピ ーディーに仕上げたいという話は、信ぴょう性ありますよね」 今回の詐欺には、ほかにも2人の女性が関わっていたとみられています。女性の1人は会社代表の女性になりすまし、区役所で印鑑登録を勝手に変更するなどし、詐欺の下準備に加担していたとみられていて……。多くの“役者”が揃い、巨額の金をだましとったとされています。 福田被告は、グループの指示役とみられていますが、捜査関係者によると、取り調べではこんな発言も。 福田 被告 「俺は綾野剛だ」 2017年に、大手住宅メーカーが55億円の被害に遭った「地面師事件」。これをモチーフに、作られたドラマで、「綾野剛さん」は、詐欺グループの「リーダー」ではなく「交渉役」を演じています。福田被告は、14億円をだまし取ったとされる事件に、他にリーダーがいることを示唆したのでしょうか。 福田 被告 「自分の取り分は1億円以上だ」 巧妙な手口で“土地狂う”地面師たちのグループの全体像は、裁判でどこまで明らかになるのでしょうか。

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