トランプ氏、ヴェネズエラでのCIA活動を承認したと認める マドゥロ大統領は「体制転換はだめ」

アメリカのドナルド・トランプ大統領は15日、南米ヴェネズエラでの米中央情報局(CIA)の秘密工作を承認したとの報道について、正しいと認めた。ヴェネズエラの指導者らは憤慨している。トランプ氏はヴェネズエラから麻薬がアメリカに流入しているとし、対応を強めている。 米紙ニューヨーク・タイムズは、トランプ氏がCIAに対し、ヴェネズエラにおいて作戦を一方的に、あるいは広範な米軍事活動の一環として実行するのを承認したと報じた。 CIAは長年、南米で活動している。ただ、ヴェネズエラで作戦を計画しているのかや、不測の事態に備えた計画が準備されているのかは不明。 トランプ氏は15日に大統領執務室で、この報道について記者団から、「なぜCIAがヴェネズエラに入り込むのを承認したのか」と質問されると、「二つの理由から承認した」と返答。 「一つは、(ヴェネズエラが)自分たちの刑務所の収監者をすっかりアメリカに移したことだ」、「もう一つは麻薬だ。ヴェネズエラからたくさんの麻薬が入ってきていて、多くは海から入ってくる。それは見て明らかだが、陸でも止めようとしている」と述べた。 アメリカの情報機関の活動は通常、秘密に包まれており、軍最高司令官である大統領が作戦について認めるのは極めて異例。 トランプ氏は、CIAの目的がヴェネズエラのニコラス・マドゥロ政権の打倒なのかと問われると、「私に答えを求めるとしたら、ばかげた質問ではないか」と返した。 アメリカはヴェネズエラ沖のカリブ海で、麻薬を運搬していた疑いのある船を、ここ数週間で少なくとも5回攻撃。計27人を殺している。国連が任命した人権専門家はこれを「超法規的処刑」だとしている。 直近の14日の攻撃では、ヴェネズエラの海岸付近で小型船を標的にし、6人を殺害した。トランプ氏は自身のソーシャルメディアのトゥルース・ソーシャルへの投稿で、「この船舶が麻薬を密輸し、違法な麻薬テロ組織と関係していて」、密輸に使われる既知の航路を「航行していたことを情報機関が確認した」と主張した。 これまでの攻撃と同様、米当局は、この船を運航していたとされる麻薬密売組織や、乗っていたとみられる人の身元について明らかにしていない。 ■体制転換への懸念 南米地域の麻薬取引では、ヴェネズエラの役割は比較的小さい。しかし同国では、米軍が南米地域で存在感を高めていることを受け、攻撃されるのではないかとの懸念が膨らんでいる。 トランプ氏は、カリブ海に軍艦8隻、原子力潜水艦1隻、戦闘機などを展開している。ホワイトハウスは、麻薬密輸の取り締まりが目的だとしている。 こうしたなか、ヴェネズエラのマドゥロ大統領は15日、テレビで、事態のエスカレーションに警告を発するとともに、アメリカとの和平を訴えた。 「体制転換はだめだ。アフガニスタン、イラク、リビアなどでの、終わることのない失敗した戦争を思い起こさせる」とマドゥロ氏は主張。「CIAが画策するクーデターはだめだ」と訴えた。 そして、「私の話を聞いてほしい、戦争はノー、平和はイエス、アメリカの人々よ」と付け加えた。 ただ、これよりも先にマドゥロ氏は、カラカス郊外のペタレと、隣接するミランダ州で、軍事演習を行うよう指示した。 同氏はメッセージアプリ「テレグラム」で、石油資源の豊富な自国を守るため、軍、警察、民兵を動員しているとした。 マドゥロ氏は昨年の大統領選挙で3選を発表したが、多くの国が選挙の正当性を問題視している。アメリカはマドゥロ氏の麻薬密輸容疑での逮捕につながる情報に対し、5000万ドル(約75億6000万円)の報奨金を設定している。 (英語記事 Trump says he authorised CIA in Venezuela as Maduro says 'no to regime change')

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