はるな愛役の主演に18歳・望月春希抜てき 性別適合手術の人生 Netflix映画26年2月配信

性別適合手術を受け、性移行に信念を貫いて向き合った、はるな愛(53)と、性別適合手術の1人目の患者として初めて執刀し、寄り添い続けた和田耕治医師の、2人の著書を元にしたNetflix映画「This is I(ディス イズ アイ)」が製作され、26年2月に世界独占配信することが23日、発表された。主人公の大西賢示役に、オーディションで選ばれた18歳の高校生・望月春希が抜てきされた。医師の和田耕治役を斎藤工(44)が演じる。 物語は、08年にエアあややの口パクモノマネで一世を風靡(ふうび)するまで、本当の自分とは何かに悩み、世間の冷たい視線に苦しむも「聖子ちゃんのようなアイドルになりたい」という夢を手放さなかった少年・大西賢示と、運命を変えた和田耕治医師との出会いを描く。 同医師も賢示と出会い、初めて性別違和を持つ人々の苦悩を知り、現実に向き合い、賢示が初めて執刀する性別適合手術の患者となった。「自分の人生」を歩むことを選んだ賢示と、「本当の医療とは何か」に悩み、患者に寄り添い続けることを選んだ同医師が、かけがえのない信頼と絆を結ぶ。夢を追いかけ「本当の自分のあり方」を探し求め、その尊厳をつかみとるまでの主人公の葛藤、そして人生に大きな転機をもたらした医師との出会い…その勇気と再生の軌跡を描く。 企画を務めた鈴木おさむ氏(53)は、21年11月に和田医師の存在を知り、同医師と深町公美子氏の共著「ペニスカッター:性同一性障害を救った医師の物語」(方丈社)を読んだ。そして、24年前に妻の森三中・大島美幸(45)を通じて知り合った、はるなから聞かされていた人生の話を「和田先生の本を読み、この物語と一緒にしてドラマを作ったらすごくおもしろくなる、沢山の人を応援する物語になるのではないか」と着想。はるなの著書「素晴らしき、この人生」(講談社)も参考にして、22年にNetflixに企画を出し、映画の形で結実した。 監督は、松本優作監督が務める。33歳と若手ながら、19年の長編デビュー作「Noise ノイズ」が海外の映画祭で評価され、22年に商業映画「ぜんぶ、ボクのせい」など話題作を手がけた。23年の「Winny」では、02年に起きた違法アップロード問題の要因となったファイル共有ソフト「Winny」を開発、公開したことで、著作権法違反ほう助容疑で04年に逮捕された、プログラマー金子勇さんの実話を劇映画化。社会性の高いテーマを、緻密な人物描写も含め真正面から描ききった手腕が、国内外で高く評価されている。 主人公・大西賢示役のオーディションには、トランスジェンダー当事者を含む幅広い応募者が集まったが、選考過程は決して容易ではなかったという。回数を重ねて実施し、真摯(しんし)に向き合いながらも、最終的には望月が繊細な感情表現と突出した存在感から「この役は望月さんしかいない」と満場一致で選考陣をうならせ、大抜てきに至った。 「サンクチュアリ」「アドレセンス」を贈り出したNetflixが、次なる可能性に懸けて大抜てきした新星・望月は“自分らしさ”に葛藤しながらもアイドルを夢見る大西賢示を、みずみずしい感性と真摯(しんし)な姿勢で体現。演技レッスンや松本監督とのワークショップを重ね、役作りにも徹底的に向き合い、スクリーンの中で“新しい時代のアイコン”としてこれまでにない輝きを放つ。 また、賢示に大きな転機をもたらす実在の医師・和田耕治役には、幅広いジャンルで確かな存在感を放つ実力派の斎藤がキャスティングされた。偏見の目にさらされながらも信念を貫き、600人以上の性別適合手術を執刀し、性別違和を持つ人々に寄り添い続けた和田医師と主人公・賢示の間に生まれる、かけがえのない化学反応には注目だ。 80年代~Y2K(2000年代)を彩った誰もが知るヒット曲たちと心躍るダンスを背景に、当時タブーとされていた性別適合手術の扉を開いた2人の心震わす実話が、Netflix映画として鮮やかによみがえる。 製作陣は、コメントを発表した。 鈴木おさむ氏(企画) 2021年11月。仕事で大阪に行った夜、友人と梅田で見つけたショーレストランに初めて入り、そこの名刺入れに書いてあった「WADA」の文字を見て「これ、なんですか?」と聞いた時にこの物語の主人公の1人でもある和田先生の話と、和田先生の衝撃の実話が書かれた本の話を聞き、すぐに読みました。沢山の女性達を救った和田先生の驚くべき人生。そしてそこには「A」と書かれていた人物。それこそがはるな愛ちゃん。愛ちゃんは今から24年前に東京で小さなお店を開きながら、うちの妻達と仕事をしていました。妻から「すごくおもしろい人がいるんだよ」と聞かされ。ほどなくして会いました。僕と同じ年のその女性はたくましく強く、はかなく美しく生きている。愛ちゃんから何度も人生の話を聞いていたので、和田先生の本を読み、この物語と愛ちゃんの話を一緒にしてドラマを作ったらすごくおもしろくなるのではないかと。沢山の人を応援する物語になるのではないかと。2022年にNetflixさんに企画を出し、あれから4年がたち、このような作品が出来上がること。とてもワクワクしています。この物語が一人でも多くの方に届き励ますことを願っています。 松本優作監督 「自分らしく生きる」--この作品に込められたテーマです。笑いあり、涙あり、歌やダンスも満載のこれまでにない新しいエンターテインメントが誕生しました。 そして、はるな愛さんと和田耕治医師が、あの時代に“自分らしさ”を貫くために何と闘ってきたのか。その姿が力強く、丁寧に描かれています。オーディションで大抜てきされた主演の望月春希さんがとにかくすさまじいです。そして斎藤工さんをはじめ、最高の俳優とスタッフが情熱を込めて創り上げた渾身(こんしん)の一作です。「明日も生きてみよう」とそっと背中を押してくれる、そんな力を持った映画です。ぜひご期待ください。 Netflix佐藤善宏エグゼクティブ・プロデューサー 未開の地を旅することは冒険です。冒険は危険が伴い成功は約束されていません。この映画は冒険にあふれています。この映画の登場人物は、その命と身体、全身全霊を使って道なき道を歩んでいます。人生という、1度しかない自分だけの旅路を迷い、苦しみ、決断しながら前に進みます。主演に18歳の高校生を大抜てき。その選択こそがこの冒険の起点であり、その存在は驚きと感動を伴い世界へ広がっていくと信じています。この映画は映像と音楽の新たな融合の冒険をしています。80年代、90年代の誰しも知る歌謡曲と、現代的なダンスを組み合わせ、エモーショナルなシーンを生み出そうとしています。この新たな冒険を観客の皆さまが一緒に楽しんでくれると信じています。 ◆「This is I」 「アイドルになりたい」と夢を抱きながら、“自分らしさ”に悩み、周囲の視線に苦しんでいた大西賢示(望月春希)。その運命を変えたのは、1人の医師との出会いだった。過去に患者を救えなかったことで苦悩を抱える医師・和田耕治(斎藤工)は、賢示との出会いをきっかけに、それまで知らなかった性別違和を持つ人々の苦悩に初めて向き合う。そして賢示は、和田医師が初めて執刀する性別適合手術の1人目の患者となる。偏見に晒されながらも信念を貫き、性別移行に真摯(しんし)に向き合う中で「本当の医療とは何か」を悩み、患者に寄り添い続けることを選んだ和田。そして、性別適合手術という決断を通じて自身が望む“本当の自分”を確立していく決意をした賢示。世間の反発や逆風の中で孤独を抱えていたふたりが築き上げたのは、かけがえのない信頼と絆だった。孤独を抱えたふたりが互いを支え合い、自分らしく生きるための道を見つけていく。

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