ドイツ1部マインツの日本代表MF佐野海舟(24)が、森保ジャパンで不動の地位を築いてきたMF遠藤航(リバプール)やMF守田英正(スポルティング)の牙城を崩そうとしている。遠藤&守田が招集外だった10月の活動で本領を発揮し、序列アップへ猛アピール。元日本代表MF前園真聖氏(52=本紙評論家)は、森保ジャパンの世界一達成へ向けて〝キーマン〟に指名した。 佐野は2024年夏にJ1鹿島からマインツへ移籍すると、ボール奪取力などを評価され、すぐにレギュラーとして活躍。今季も強烈なパフォーマンスを発揮しており、欧州ビッグクラブの関心も報じられている。 一方、森保ジャパンでは鹿島時代の昨年にアジアカップのメンバーなどに選ばれたが、マインツ入りしてからは、昨年7月に不同意性交容疑で逮捕され、その後不起訴処分となっても選外が続いた。ようやく6月の活動から代表復帰となったが、9月の米国遠征などは高評価を得られるまでには至らなかった。 しかし守田に加えて遠藤も参加しなかった10月、佐野にとって大きな転機が。2―2の引き分けだった10日のパラグアイ戦で後半44分まで出場すると、14日のブラジル戦はフル出場で3―2の歴史的勝利を支えた。主戦の守備的MF(ボランチ)不在を感じさせない活躍ぶりだった。 そうした流れを踏まえ、前園氏は「佐野海舟選手は、クラブでコンスタントにプレーする中で素晴らしい成長を見せています。10月の活動には遠藤選手はいませんでしたが、しっかり穴を埋めていました」と高く評価した。 その上で「デュエル(球際の強さ)やボール奪取のところは長所ですが、遠藤選手より能力がたけているのは、ボールを奪った後、スペースがあれば自分で運べるところですよね。それにボールを奪ってパスを出した後、自分で上がって受けてラストパスを出したりできるところもそうだと思います」と強調する。 佐野が台頭してきたことで守備的MFの選手層がより厚くなるのは大きなメリットとなる。「W杯で上を目指すのであればローテーションしながら戦っていく必要があります」と前園氏。さらに「彼が入ってくることで相手に合わせて、よりいろいろなボランチの組み合わせができると思うんですよ。それに競争の活性化は、非常に日本代表にとってはプラスになります」と力説した。 10月のパフォーマンスで、森保ジャパンに欠かせない選手となりつつある。前園氏は「彼の伸びしろイコール、チームの伸びしろと言ってもいいかと思います」。佐野が進化すればするほど、日本代表が目標とする来夏の北中米W杯制覇へと近づいていきそうだ。