福岡県須恵町の中学校補助教員の採用の際に偽造された教員免許状の写しが提出された事件で、福岡地検は31日、補助教員の近藤正仁容疑者(66)を偽造有印公文書行使罪で起訴した。 近藤被告は、今春まで隣接する同県篠栗町の小学校でも特別支援教育支援員として勤務していた疑いがあることが関係者への取材で判明した。その採用時にも教員免許状の写しが示されており、偽造だった疑いが浮上している。 「偽造されても確かめるすべはない」。篠栗町から採用業務を委託された民間企業(本社・東京)の担当者は当時を振り返った。 同社などによると、近藤被告とみられる人物は2021年4月~25年3月の4年間、同町立小で勤務。採用時に中学の教員免許状の写しを示し、教員免許所持者の待遇とされた。ただ、「言葉遣いや児童への態度が良くない」と指摘があり、25年度は単年度契約を更新しなかった。同社の担当者は「偽造されても本人の同意がないと調査できない。性善説で考えるしかない」と話す。篠栗町の担当者は名前や住所から近藤被告と同一人物とみている。 裁判記録などによると、近藤被告は福岡市の中学教諭だった05年に児童買春などの疑いで逮捕され、有罪判決が確定し教員免許を失効。再取得したが、12年に道路交通法違反で再び失効した。その後は埼玉と群馬の小中学校で無免許で勤務し、13年に教育職員免許法違反(無免許)で罰金の略式命令を受けた。14年には福岡県で、17年には宮崎県でそれぞれ偽造免許を示して教員になろうとしたとして実刑判決を受けた。 福岡県警は引き続き、教員免許が偽造された経緯を捜査している。【森永亨】