斎藤元彦・兵庫県知事らの疑惑を県議会で調査していた元県議の竹内英明さん(当時50歳)を中傷したとして、県警は9日、政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志容疑者(58)=東京都港区=を名誉毀損(きそん)の疑いで逮捕した。県警は認否を明らかにしていないが、捜査関係者によると「竹内さんに関して発言したこと自体は争わない」と話しているという。 県警は逃亡や証拠隠滅の恐れがあるとして容疑者の身柄の拘束に踏み切った。10日に送検し、今後は発言の意図などについて本格的に調べる。 竹内さんは斎藤氏のパワハラ疑惑などを調べる「県議会調査特別委員会(百条委)」の委員を務めていた。立花容疑者は斎藤氏の失職に伴う出直し知事選(2024年11月17日投開票)に、斎藤氏の再選を支援する「2馬力選挙」の目的で立候補。疑惑告発の文書作成に関わった「黒幕」として竹内さんを批判していた。 竹内さんは交流サイト(SNS)で中傷が相次ぎ、昨年11月に県議を辞職した。今年1月、自宅で死亡しているのが発見された。自殺とみられる。 立花容疑者の逮捕容疑は昨年12月中旬、自身が立候補した大阪府泉大津市長選の街頭演説で「何も言わずに去っていった竹内議員は、めっちゃやばいね。警察の取り調べを受けているのは多分間違いない」などと発言したとされる。 さらに、竹内さんが死亡した後の今年1月中旬、SNSなどで「竹内元県議は、昨年9月ごろから兵庫県警からの継続的な任意の取り調べを受けていました」「竹内元県議は、どうも明日逮捕される予定だったそうです」とうその情報を投稿。これらの発信で竹内さんの名誉を傷つけたとしている。死者に対する名誉毀損容疑でも立件されるのは極めて異例という。 竹内さんの妻(50)が今年6月に刑事告訴していた。立花容疑者の発信内容は、当時の県警本部長が全面否定。立花容疑者もその後に間違いだったと認めたが、真実相当性があり名誉毀損には当たらないと主張していた。【木山友里亜、柴山雄太】