土佐清水市の官製談合事件 入札に関して以前から疑惑も【高知】

公正な入札を妨害したとして、高知県土佐清水市の程岡市長が官製談合防止法違反などの疑いで逮捕・送検されました。逮捕された11月11日から翌12日の動き、そして以前から市長などに向けられていた疑惑に迫ります。 県警は11日午後6時過ぎから約3時間半にわたって土佐清水市役所の家宅捜索を行いました。 事件は今年5月に土佐清水市が行った公共施設の電気工事の入札に絡み、最低制限価格を事前に漏らしたとして官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の疑いで土佐清水市長の程岡庸容疑者(66歳)と土佐清水市議の永野裕夫容疑者(67歳)、四万十市の会社役員・榮勇男容疑者(84歳)と四万十市の会社役員・小野和幸容疑者(66歳)の 4人が逮捕されたものです。 市長の逮捕から一夜が明け、土佐清水市役所では12日から市長の職務を代行している副市長がインタビューに応じました。 ■早川聡副市長 「市民の皆様含めて大変申し訳ない気持ちでいっぱい。管理職・職員一丸となって信頼回復に一歩一歩努めていきたい」 一方、市長の逮捕に市民からはこんな声が。 ■土佐清水市民 「(市長は)商工会の会頭もしていたので土佐清水の商業とかに関しては期待する部分も多かったと思う。でも仲間内だけでそういう采配というのはやっぱり今のこの時代いかんと思う、絶対。今回は県警がどこまでメスいれるか分からんけど、膿は出し切ってもらいたいと思う」 そして、12日午後1時すぎ、県警は程岡市長ら4人の身柄を高知地検に送りました。贈収賄を見据え、事件の全容解明に向けて今後、捜査を本格化させるとしています。 今回の事件は市長の程岡容疑者などから得た情報により、小野容疑者が役員を務める四万十市の井上電工がコミュニティ施設の電気設備の改修工事の指名競争入札で最低制限価格より1万円高い5913万円で落札したものです。 土佐清水市によりますと、井上電工は程岡市長の就任以降、今回の事件を除いて過去に2回落札していて、その際の最低制限価格と落札価格の差は5万円と11万円でした。一方で、土佐清水市内では市の入札に関して以前から疑惑の声が複数上がっていました。 土佐清水市の建築塗装業者「はやぶさ塗装」です。代表の山崎隼叶さんは、土佐清水市では工事の入札に絡む官製談合がほかにも複数起きているはずだと指摘します。 ■はやぶさ塗装 山崎隼叶代表 「正直なところやっと出たかっていうところ。そういう噂は絶えなかった。あくまで噂ですけど、自分らも塗装の方で入札に関わってきて、だんだん、だんだんおかしいやんけってところがでてきているので」 「はやぶさ塗装」は2023年8月と、今年7月の2回、市の施設の外壁工事の入札に参加しました。しかし結果は、いずれも別の業者が最低制限価格ぴったりの額で落札しました。 Q.最低価格ぴったりで落札はあるのか? ■山崎代表 「本当に99.99%ないですけど、ゼロではない。まぐれで当たることもあるし、まあ、なかなか卓越した技術、もしくは”神の声”を疑うのは間違いないでしょうね」 近年、入札制度の仕組みが変わり、発注元から詳しい設計内容が業者側に提示され、価格の計算がしやすくなりました。仮に、設計書に誤りがあると、業者は本来とは異なる価格をはじき出します。ところが、今年7月の工事の入札は設計内容が誤っていたにも関わらず、当初の最低制限価格で落札されたため、山崎さんは市に異議申し立てをしました。 ■山崎代表 「市にも異議申し立てなり、陳情にしましたけど却下されたので、警察の方にも相談を持っていきました」 8月に警察に告訴したという山崎さんは今回の市長と市議の逮捕を皮切りに、ほかの疑惑も明らかにしてほしいと願っています。 ■山崎代表 「本当に信用される行政であってほしい。僕ら入札入っている業者としては、やっぱり透明感があるようにやってもらいたいですね」 一方、今年9月の土佐清水市議会で市議が、過去に行われた入札で最低制限価格と落札額が一致していたことや4回連続で同じ業者が落札した事についてただした際に程岡容疑者は― ■程岡容疑者 「公的機関が行う入札制度は癒着を防止し、公平公正に受注者を選ぶ役割が あると認識している。万が一にも不正が生じることは許されないことであるので、今後も本市の公平公正な入札の執行に努めて参りたい」 こう、答弁していました。 しかし、わずか2か月後、入札の秘密事項を漏らしたとして逮捕されました。入札について以前からたびたび疑いの目が向けられていた土佐清水市の入札。逮捕・送検された程岡容疑者ら4人は取り調べで何を語るのか。今回の事件を含めて全容解明が強く求められています。

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