未解決事件「映像はあるのに捕まらない」犯罪捜査に「顔認証カメラ導入」の是非

2022年6月29日に大分県別府市で発生した別府ひき逃げ事件で、重要指名手配されている八田與一(はった よいち)容疑者はいまだ足取りが掴めていない。一方、全国には他にも未解決の事件が多数存在する。 2015年4月、神奈川県湯河原町で平井美江さん(当時66歳)が殺害され、住宅が放火された事件では、上下黒の服に黒のリュックを背負い、駅の改札を通る人物の防犯カメラ映像が公開されている。身長は170センチほどとみられ、神奈川県警はこれまでのべ3万5000人態勢で捜査しているが、事件は未解決のまま10年が経過している。 また1999年9月に川崎市の信用金庫に押し入り、男性職員(当時53歳)が猟銃で撃たれて死亡した事件では、長い猟銃を持った男の映像が残されている。男は当時40〜60代ぐらい、身長155〜165センチほどとされている。こちらものべ15万人態勢で捜査しているが未解決のまま26年が経った。 名古屋主婦殺人事件のように、わずかな目撃情報から作られた似顔絵とは違い、防犯カメラ映像が残っていても、いずれも長期間、確保に至っていないのが実情だ。 朝日新聞によると全国の未解決殺人事件は少なくとも369件あるとされている(2025年7月時点)。 一方、中国では監視カメラに顔認証が組み込まれており、行方不明者や逃走犯を瞬時に発見するケースもあるという。認知症の高齢女性を捜索開始から25分で発見できた例もある。 日本ではJR東日本が指名手配中の容疑者を検知して警察に通報する目的で、一部の駅に顔認証機能付き防犯カメラを導入したが2025年7月運用を停止。外部企業との契約満了に合わせ、検証結果を踏まえての判断だという。日本弁護士連合会はプライバシー侵害の恐れを理由に利用中止を求めていた。 また、ABEMA的ニュースショーが独自取材を続ける別府ひき逃げ殺人事件。裸足で逃走した重要指名手配犯の八田與一容疑者に関する情報は1万件以上寄せられているが、有力な手がかりはないとされる。関係者への取材により大分県警が今週、別府湾の海底堆積物を調べ、手がかりを探していることが分かった。 事件から3年以上が経過する中、遺族らはほかの事件を含めた解決に向け、防犯カメラに手配犯に限った顔認証の導入を求めているが、実現には法整備など大きな壁がある。 遺族は「時効がない殺人罪は、名古屋事件のような逮捕の可能性も期待できますが、捕まらない限り、私たちの怒りと不安にも時効はありません」とコメントしている。 (『ABEMA的ニュースショー』より)

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