Patricia Zengerle Steve Holland David Morgan [ワシントン 4日 ロイター] – トランプ米次期大統領が国防長官に指名した元FOXニュース司会者ピート・ヘグセス氏を巡って性的暴行など公私にわたる疑惑が取りざたされている中でも、ヘグセス氏は上院での承認を目指して4日、共和党所属の上院議員らとの接触を続けた。ただ、トランプ氏はヘグセス氏に代わる候補を検討しており、内部事情に詳しい2人の情報筋によると、南部フロリダ州のロン・デサンティス知事の名前が浮上している。 別の情報筋によると、国家安全保障問題担当の大統領補佐官への起用が発表されていたマイク・ウォルツ下院議員(共和党)も候補に挙がっており、ジョニ・アーンスト上院議員(共和党)も候補となる可能性がある。 リサ・マコウスキー上院議員(共和党)は4日、「私は最近明らかになったいくつかの事柄について非常に懸念しており、それについて彼(ヘグセス氏)に尋ねたい」と述べた。11月の議会上院の選挙で共和党が53議席を獲得し、民主党系の47議席を上回って多数派を握った。このため、ヘグセス氏は3人の共和党議員が反対しても承認される可能性がある。 ヘグセス氏は議員との面会の合間に出演したラジオ番組で「私は飲酒の問題があったことはない」と主張。4日朝にトランプ氏と会話し、闘い続けるよう促されたと語った。 トランプ氏が指名した閣僚候補では、17歳だった少女の買春や違法薬物使用の疑惑が問題視されたマット・ゲーツ元下院議員(共和党)が11月に司法長官候補を辞退した。ゲーツ氏は不正行為を否定している。 トランプ氏が麻薬取締局(DEA)局長に指名したフロリダ州ヒルズボロ郡保安官チャド・クロニスター氏も今月3日に辞退した。新型コロナウイルス流行時のロックダウン(都市封鎖)措置に反したとして牧師を逮捕していたことが共和党支持者らの反発を受けた。 トランプ氏は4日、クロニスター氏について「彼が辞退したのではない。私が彼を降ろしたのだ」とソーシャルメディアに投稿した。 <行方を左右> 共和党の上院院内総務に来年就任するジョン・スーン上院議員は報道陣に対し、ヘグセス氏と4日会う予定だとして「彼は提起された全ての疑問に答える機会を持つ。だから彼はそれらに答えなければならない」と話した。 ヘグセス氏は4日、退役軍人で性的暴行に関係したとされるアーンスト氏とも面会。プロセスに詳しい人物によると、この面会がヘグセス氏の行方を左右する鍵を握るとみられている。 ヘグセス氏は、国防総省を監督する上院軍事委員会の次期委員長候補のロジャー・ウィッカー上院議員(共和党)とも会談。ウィッカー氏は終了後に報道陣に対して「乗り越えられない障害はないと思う」と語った。 <疑惑> ヘグセス氏は、西部カリフォルニア州で2017年に開かれた会議の際、女性に性的暴行を加えたという警察の報告書の疑惑を否定している。報告書によると、女性は同僚と酒を飲んでいるときに薬物を飲まされた可能性があり、ヘグセス氏だと後に確認された男から性的暴行を受けた。 起訴はされず、ヘグセス氏は被害者と個人的に和解した。 米NBCニュースは3日、FOXニュースの現役従業員と元従業員計10人の話として、ヘグセス氏の飲酒癖が同僚たちを心配させ、アルコールの匂いをさせて出勤したり、二日酔いだと話したりしていたと伝えた。 米紙ニューヨーク・タイムズは11月、ヘグセス氏の母親が2018年に書いたヘグセス氏宛の電子メールで、女性に嘘をつくのを含めて虐待し、だまし、複数の女性らと関係を結び、「自分の権力とエゴのために」女性を利用していると非難したと報じた。 ヘグセス氏の母親はニューヨーク・タイムズのインタビューで、メールで書いたことを謝罪して「彼の性格や女性の扱いについて最初のメールに記した感情を否定する」という内容のメールを直後に送ったと釈明した。 米誌ニューヨーカーは文書や元同僚の証言を引用し、ヘグセス氏が運営していた2つの非営利団体から「財務管理上の失態、不適切な性的関係、個人的な不正行為に関する深刻な疑惑」を指摘されて退任に追い込まれたと今月1日に報じた。記事によると、ヘグセス氏の弁護士は、この主張について「突飛だ」としてコメントを拒否した。 ヘグセス氏は、トランプ氏の政権移行事務局を通じて送ったコメントの要請には応じなかった。トランプ氏の政権移行チームはコメントの要請に応じなかった。 デサンティス氏の代理人もコメントの要請に応じなかった。 ある情報筋は、トランプ氏とデサンティス氏が国防総省の仕事について話したとし、デサンティス氏が国防長官を受諾することを検討していると認めた。