王将社長射殺問われた被告 異色の経歴で幹部に 「汚れ役」で頭角

2013年12月に「餃子の王将」を全国展開する王将フードサービス(京都市山科区)の社長だった大東隆行さん(当時72歳)を拳銃で撃って殺害したとして、殺人罪と銃刀法違反に問われている特定危険指定暴力団・工藤会系組幹部の田中幸雄被告(59)は26日、京都地裁(西川篤志裁判長)で開かれた初公判で「決して犯人ではない」と述べ、無罪を主張した。 工藤会系組幹部の田中幸雄被告は眼鏡をかけ、黒っぽいスーツ、白シャツ姿で法廷に現れた。初公判の冒頭、「決して犯人ではありません。決してが付きます。到底承服できません。もう一度申します。決して犯人ではありません」と起訴内容を繰り返し否定した。 公判には被害者参加制度を使って親族が参加。検察官の横についたてが置かれ、傍聴席から見えないようにする配慮がなされた。被告側に対し、親族が「なんで無罪やねん」と涙ながらに声を荒らげ、審理が中断する場面もあった。 被告はどのような人物なのか。検察側の冒頭陳述や捜査関係者への取材によると、福岡県出身で、青山学院大を中退後、旅行代理店をはじめとする民間企業を転々とした。暴力団組員になったのは30代になってからという。 異色の経歴を持つ組員が、工藤会傘下組織の有力団体でのし上がることができた理由として「汚れ役」を引き受けていたからという見方がある。一例とされるのが大手ゼネコン社員らへの銃撃事件(2008年)だ。被告はフルフェースのヘルメットをかぶった状態で銃弾を車に命中させている。被告は懲役10年の実刑判決を受け、服役中に王将社長射殺事件で逮捕された。 組織内で有能な「ヒットマン」とされていた被告。被告の周辺によると、被告は拘置所での勾留中に月10冊の読書をこなすこともあるといい、「知的好奇心があり、賢い」という人物評もある。

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