10年前、20年前、30年前に『FRIDAY』は何を報じていたのか。当時話題になったトピックを今ふたたびふり返る【プレイバック・フライデー】。今回は20年前の’05年12月16日号掲載の『【広島小1少女殺害】チョコレートを食べながら〝獲物〟を物色 Aちゃんを殺したXの「性癖」』を紹介する。 ’05年11月22日午後3時ごろ、広島市安芸区の民家の前の空き地に不審な段ボール箱があるのを近隣の住民が見つけた。中を開けてみると、中に入っていたのは手足を折り曲げた少女の遺体だった──。9日後の11月30日に三重県鈴鹿市で事件の容疑者として逮捕されたのは、〝日系3世〟のペルー人・X容疑者(当時30)。知人らが語ったXの〝素顔〟とは(《》内の記述は過去記事より引用、年齢は当時のもの)。 ◆チョコレートを食べながら下校する児童を物色 殺害されたのは近くの小学校に通う小学校1年のAちゃん(7)。自衛官の父親が転勤になったため、8月に千葉県船橋市から引っ越してきたばかりだった。死因は頸部圧迫による窒息死で、遺体が入っていたガスコンロ用の段ボールには、チョコレートの包み紙が残されていたという。警察は東広島市のホームセンターでガスコンロを購入した客を割り出し、そこからXが浮上したという。 《XがAちゃんの通学路に面したアパートの2階に引っ越してきたのは事件の3週間前。階下には従兄弟の家族が住む。事件当日、アパートの前の石段に腰掛け、チョコレートを食べながら、下校する児童を見つめるXの姿が、近所の住民に目撃されている。また、犯行直前の午後1時ごろ、Xがアパートの前でAちゃんと思われる少女と話していたという目撃証言もあった》 Xは’04年4月に来日し、’05年10月中旬まで広島県内にある人材派遣会社で働いていた。周囲から聞くXの人物像は、あまり好ましいものではなかった。 《「Xは嘘つきで、カネに汚い。自宅でケガをしたのに、労災と言い張ってカネを要求したりしたことがあった。仕事を頻繁に休むためにクビになったのですが、それを不当解雇だと言い張る。結局、会社が示談金を払うことになり、11月20日、その示談金を『従兄弟の口座に振り込んでくれ』という電話がありました」(職場の関係者) 夫がXの同僚だったというブラジル人女性(40)はこう語る。 「Xは異常な女好きなんです。男には挨拶どころか、口もきかない。だから、みんなに嫌われ、友達もいなかった。ただ、相手が女性だと態度が一変する。すごく優しくなり、積極的。カネに汚いクセに、休み時間に缶ジュースを奢ったりしていたそうです。夫は逮捕のニュースを聞いて、『アイツならやりかねない』と言っていました」》 11月25日、葬儀でAちゃんの父親は「Aが自分で作詞した歌を、ピアノを弾きながら歌っていたのが忘れられません」と、声を詰まらせながら別れの挨拶をした。 犯人は捕まったが、Aちゃんの歌声は二度と聴くことはかなわなかった──。 ◆「殺すつもりはなかった。悪魔が入ってきた」 X逮捕の決め手となったのは、段ボールや遺体に付着していたDNAが、Xのものと一致したことだった。だが、逮捕寸前にXは住んでいた遺体発見現場から100mほどの場所にあったアパートの部屋から突然行方をくらます。警察は懸命の捜索の結果、三重県にいるとの情報を掴み、鈴鹿市の友人宅で眠っていたXを逮捕したのだった。 逮捕当初は犯行を否認していたXは、翌日には容疑を認め、 「女の子に謝りたい。反省している。両親におわびしたい。殺すつもりはなかった。悪魔が入ってきた」 と語ったという。また、偽造パスポートで入国しており、名前も年齢も偽っていたことが判明。事件当時30歳と報じられていたが、実際は33歳だった。Xは母国・ペルーで9歳の女児を暴行して指名手配されていた。さらに同国内を逃走中にも3件の少女への暴行未遂やわいせつの容疑がかけられていたため、本名でパスポートを取ることができなかったのだ。 ’06年5月から始まった裁判では、検察は死刑を求刑。一方、Xの弁護人は、Xが「この子を殺せ」という悪魔からの声に自分の精神を支配された状態だったとして殺意を否定。「心神喪失状態で刑事責任能力はなかった」と無罪を主張し、大きな非難を集めた。 7月に広島地裁はXに無期懲役を言い渡す。判決では「悪魔からの声」は罪から逃れるための言い訳であり、責任能力はあるとした。検察、弁護側ともに不服として控訴。その後、控訴審や上告審での差し戻しなどを経て、’10年8月に無期懲役が確定した。Xは’25年の時点で服役中だということがわかっている。