ロシアに拉致されたウクライナの子ども、一部は北朝鮮に 犯罪システムが「同盟国」に拡大

ロシアが拉致したウクライナの子どもたちを自国の本土や支配地域内に連れ去っただけでなく、北朝鮮まで移送していたことが、このほど米議会で行われた証言で明らかになった。新事実は、この戦争に関して最も詳細に記録された犯罪のひとつに新たな層を加えるものであり、ロシアの同盟関係が占領地域の住民の扱いにも深刻な影響を与えるようになっている実態を浮き彫りにした。 ウクライナメディアのキーウ・インディペンデントなどの報道によると、ウクライナ地域人権センターのカテリーナ・ラシェウシカは3日、米上院歳出小委員会で、ウクライナ人の拉致された子ども少なくとも2人が北朝鮮の松濤園キャンプに送られたと証言した。ドネツク州出身の12歳のミーシャと、クリミア・シンフェローポリ出身の16歳のリザが、母国からおよそ9000km離れた場所に連れて行かれたという。 ■再教育と強制的同化 ラシェウシカの証言は、ロシアによるウクライナの子どもの大規模な拉致を取り上げた公聴会の冒頭で行われた。ロシアは2022年2月にウクライナに対する全面侵攻を始めて以降、占領した地域からウクライナの子どもを連れ去り、ウクライナ人としてのアイデンティティーの消去や、多くの場合、ロシア国内での生活の準備を目的とした施設群に収容してきた。 拉致された子どもたちのなかには、ロシア人の家庭に養子に出されている子どももいれば、軍事キャンプや再教育キャンプに収容されている子どももいる。ウクライナの国家データベース「戦争の子ども」には、ロシアに拉致された子ども1万9546人が記録されているが、独立系の専門家たちは実際の数はもっと多いと推測している。米共和党のチャック・グラスリー上院議員(アイオワ州選出)らは、どのような和平合意が成立する前にも、ロシアに対して拉致した子ども全員をウクライナに返すことを求める超党派の決議案を提出している。 ロシアによるウクライナの子どもの拉致・移送・収容のネットワークはかなり詳細に把握されている。米イェール大学公衆衛生大学院の人道研究ラボ(HRL)は、ウクライナの子どもを受け入れている施設が、ロシア本土やウクライナのロシア占領地域に少なくとも210カ所存在することを突き止めている。

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