米国連邦裁判所が、億万長者の性搾取犯ジェフリー・エプスタイン氏(2019年死亡)の刑事起訴に関連する資料の公開を認める決定を下した。 米ニューヨーク南部連邦地方裁判所のリチャード・バーマン判事は10日(現地時間)、エプスタインの起訴に関する大陪審資料の公開を認めてほしいとする米司法省の要請を認めた。 これは、米連邦議会が先月、エプスタイン捜査資料の公開を義務づける「エプスタイン文書透明性法」(以下、エプスタイン法)を可決したことを受けた判断だ。 前日には、同じ裁判所のポール・A・エンゲルマイヤー判事も、エプスタインの生前の恋人で共犯だったギレーヌ・マクスウェル氏に関する法廷証言記録の公開を認めている。 エプスタイン法は、エプスタイン氏と共謀者マクスウェル氏に関連するすべての機密記録、文書、通信、捜査資料を12月19日までに公開するよう司法長官に義務づけている。 バーマン判事は、エプスタイン事件の大陪審記録だけでなく、公判手続の一つである証拠開示(discovery)過程で検察が弁護側に提供した捜査資料についても、公開することを認めた。 エプスタイン氏とマクスウェル氏の捜査資料が公開されれば、これまで非公開だった膨大な捜査資料が一般公開される見通しだ。 ただしバーマン判事は、エプスタイン事件の被害者の身元と私生活が徹底的に保護されるよう措置を講じることも命じた。 ヘッジファンド・マネジャー出身の億万長者だったエプスタイン氏は、自宅や別荘などで未成年者数十人を含む多数の女性への性犯罪容疑で逮捕・起訴されたが、2019年に収監中の刑務所で死亡した。 彼は自殺と判定されたが、エプスタイン氏から性的接待を受けたとされる政官界の有力者リストが存在するという説や、自殺ではなく他殺だという陰謀論が提起されてきた。 ドナルド・トランプ米大統領は大統領選期間中、エプスタイン氏死亡の背後に「ディープステート」(Deep State・闇の政府)がいると主張して支持層を結集させたが、大統領就任後は情報公開に消極的な姿勢を示し、真実を隠蔽しているのではないかとの疑念を招いた。