「リスクだけでリターンはない闇バイトの実態を知ってほしい」こう手紙に書き残したのは、強盗傷害事件で逮捕・起訴された闇バイトの実行犯・本橋日尚太被告(25)です。なぜ凶悪犯罪に加担してしまったのか。闇バイトの実態を私たちに証言しました。首謀者らの“巧妙な手口”と“恐怖による支配”とは。 ■実行犯は闇バイトの存在「全然知らなかった」 闇バイト強盗の「実行犯」本橋日尚太被告(25)は、闇バイトの存在を知らなかったといいます。 「ニュースも見てなかったし、当時強盗が相次いでいたことも全然知らなかった」 住人が殺害される事態に発展するなど、2024年、首都圏で18件相次いだ一連の強盗事件のうち、東京・葛飾区の強盗傷害事件で逮捕・起訴されています。 本橋被告はなぜ凶悪犯罪に加担してしまったのか。私たちは9回にわたり面会を重ねました。 2024年1月、愛知県から上京した本橋被告。 本橋被告を知る人物 「明るい性格で友達も多く、誰とでも分け隔てなく話せるような人物だった」 ■“旅費の足しになれば…” SNSに潜む“ホワイト案件”と謳った闇バイト 歌舞伎町でホストとして働き、1日100万円を稼ぐ日もあったといいますが、わずか8か月で店を退職。日雇いのアルバイトなどで生計を立てるようになります。 本橋被告 「ちょうど好きなアイドルグループのツアーが始まる直前で、その旅費の足しになればと」 Xで“ホワイト案件”などとうたうアルバイトを発見。応募すると、相手から秘匿性の高いアプリ「シグナル」に移行するよう指示されたといいます。 相手 「身分証と身分証を持っての自撮りの写真も送ってください」 本橋被告は疑うこともなく、個人情報を送信。すると、相手からは“浮気調査”に加え、強盗を意味する“タタキ”、“空き巣”など13種類の仕事内容が送られてきたといいます。 本橋被告 「タタキ(強盗)や空き巣など、明らかに犯罪のものもありましたが、浮気調査・現場確認の2つのどちらかを4、5件こなしたら、いくらくらいもらえるか質問したところ、10万から15万円と返信がありました」