シリーズ「年末回顧」。2025年の主な県内で起きた事件・事故を振り返ります。 12月11日時点で県内被害総額4億8979万円。これは2025年オレオレ詐欺や架空請求などの特殊詐欺事件で県民がだまし取られた被害金額の合計です。 目立ったのは警察官や検事を名乗り「あなた名義のカードが犯罪に利用されている」「逮捕状が出ている」などと不安をあおり解決金として振り込ませる手口や、ネット上で副業を紹介するとうたい逆に金をだまし取る手口でした。 また、ネットで「高額報酬」などと募集し、犯罪に加担させる「闇バイト」が横行。背後に潜むのはトクリュウ=匿名・流動型犯罪グループで、ことし県警は国税電子申告・納税システムe-Taxを不正に使用し税務署をだまして所得税の還付金を全国12都道県でだまし取ったとして県内外の10代から70代の男女22人を逮捕しました。 2025年11月、2つの事故の裁判が始まりました。 1つは、2024年9月、香南市の高知東部自動車道で車2台が正面衝突し1歳の男の子が死亡した事故。 車を運転中に助手席の下の靴を取ろうとしてハンドル操作を誤り対向車線にはみ出し事故を起こした61歳の運転手の男は過失運転致死傷の罪に問われています。初公判で男は起訴内容を認めるも「当時の記憶がない」と主張し、亡くなった男の子の両親は怒りをあらわにしました。 両親は危険運転に対して厳罰を求める署名を全国で募り、集まった16万筆を高知地検に提出しました。 そしてもうひとつは2024年7月、高知市長浜小の4年生の男子児童が中学校のプールで行われた水泳授業中に溺れて亡くなった事故で、業務上過失致死の罪に問われている当時の小学校校長の裁判。 泳ぎが苦手な児童を身長よりも深い水深のプールで浮き具なども使用せず、監視体制も乏しい中漫然と泳がせたことについて「危険だと思わなかったのか」と問われた元校長は「考えが及ばなかった」「安全対策ができていなかった」と繰り返し、安全対策が一切講じられなかった当時の状況が浮き彫りとなりました。 大切なこどもの命を奪われた両親は 軽視された安全対策や教員の意識の低さを強く批判し終わることのない悲しみを言葉にしました。 教員や警察官などが盗撮や不同意わいせつで逮捕される事件が相次ぎました。 2025年度に入り盗撮や不同意性交などの疑いで 逮捕された教職員の数は、2019年度以降最多の4人。中でも6月に起きた土佐市宇佐小の事件では教員になったばかりの男が教室内で児童の体や着替えを盗撮していました。 学校という子供を安心して預ける場所の信頼が大きく揺らいだこの事件。 元教員の男に対し検察側は12月2日の裁判で拘禁刑3年6か月を求刑しました。 6月、県警の50代の警察官が量販店などで靴に仕込んだカメラで女性のスカート内を盗撮する行為を繰り返したとして、県迷惑防止条例違反で逮捕されました。盗撮回数はなんと1000回に及びましたが10月の判決では執行猶予のついた拘禁刑1年6か月に。 そして11月。飛び込んできたのは行政トップによる官製談合事件。 土佐清水市の市長が入札の秘密事項である最低制限価格を市議に漏らし、四万十市の会社が最低制限価格とわずか1万円差で落札するという不正入札が発覚しました。 市長、市議、四万十市の会社役員の4人が逮捕・起訴され、市長は「議員から聞かれたので価格を教えた」と話していることが分かりました。 市長と市議はそれぞれ辞職願を提出し、土佐清水市議会はいずれも同意。 今後、官製談合事件から贈収賄事件へと発展するのかどうか。そして過去から何度も不正の疑惑があったという土佐清水市の入札の実態はどこまで明らかになるのか。引き続き注目されます。