横浜市の住宅関連会社「ナイス」(旧すてきナイスグループ)が粉飾決算をしたとされる事件で、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪に問われた元会長の被告(77)と、元社長の被告(73)の差し戻し審の判決公判が15日、横浜地裁であった。佐藤卓生裁判長は「合理的な疑いが残る」などとして、元会長(求刑懲役2年6月)と元社長(求刑懲役1年6月)に無罪を言い渡した。 横浜地検特別刑事部は2019年7月、2人を逮捕。15年3月期決算で支配下にある会社と架空の不動産取引をし、利益を水増しした有価証券報告書を提出したとして、19年8月に起訴した。 差し戻し前の一審横浜地裁は21年3月、架空取引を認定して2人に有罪判決を言い渡したが、22年12月の二審東京高裁は一転して「取引は実態が認められ、原判決には重大な事実誤認がある」と判断。有価証券報告書への記載が適法かどうかについて、一審で「審理が尽くされていない」とし、判決を破棄して審理を地裁に差し戻した。 検察側は起訴内容の「架空売上」の箇所を「会計的な準則に反する売上」と訴因変更。争点が取引実態の有無から、会計基準に照らして虚偽の記載をしたといえるか否かになっていた。