トビラシステム株式会社は、独自の情報をもとに特殊詐欺など、詐欺手口の傾向をまとめた「特殊詐欺・トレンド詐欺手口レポート2025」を公開した。2025年は特殊詐欺による被害額が10月末時点で1096.7億円に達し、過去最悪を記録しているという。 同レポートでは、2025年のトレンドとして、複数チャネルを組み合わせた「複合型詐欺」の増加を挙げている。主に電話を使った従来の手口から、SNS、メッセージアプリ、ビデオ通話、メール、偽サイトなど、複数のチャネルを組み合わせるハイブリッド型へと変化していると指摘している。 これにより、手口を複雑化させて被害者を混乱させたり、劇場型詐欺としてのリアリティを演出したりして、被害者が手口を見破りにくくなっているという。また、生成AIが詐欺に利用されることも、巧妙化の一因となっている。 ■ 2025年最も流行した手口はニセ警察詐欺、若者の被害者も増加傾向 同レポートでは、複合型詐欺のトレンド手口として3つの手口を取り上げており、その中でも最も流行した手口が、ニセ警察詐欺だとしている。電話で接触した後にメッセージアプリへ誘導する流れが多く、偽物の警察手帳や逮捕状など、公的機関の権威性を悪用した手法が確認されているとしている。 「+1」などで始まる国際電話を利用するケースが増加したことも大きな特徴となる。日本の警察署の番号に見せかけるため末尾を「0110」に偽装した電話番号が使われる事例も確認されており、番号表示だけで不審な着信を見抜くのが困難なケースもある。 ■ SNS型投資・ロマンス詐欺が増加 2番目に取り上げられている手口が、SNSを利用した投資詐欺・ロマンス詐欺だ。どちらも複合型詐欺で、SNS型投資詐欺は、投資に関する偽のインターネット広告を入口にLINEなどの投資グループへ誘導した後、架空の株式投資や暗号資産取引などを持ちかけて金銭をだまし取る手口。多数のサクラが利益を保証する内容の投稿を繰り返すが、実際に利益が出ることはなく、入金した金銭が戻ることもない。 SNS型ロマンス詐欺は、SNSやマッチングアプリで出会い、メッセージのやり取りで信頼関係を深めた後、投資話に誘導して金銭をだまし取る手口。メッセージのやり取りでは日常生活に関する画像や動画を送って実在の人物を演出するほか、ディープフェイクを利用したビデオ通話を行って信頼を強化するケースもあるという。 ■ 自動音声と偽サイトを利用したボイスフィッシングの増加 3番目に取り上げられている手口が、ボイスフィッシングだ。金融機関や宅配事業者などを名乗る自動音声電話を入り口に、メールやSMSを利用して偽サイトへ誘導し、銀行口座情報や認証コードなどを窃取する。複合的でハイブリッド化した手口により、被害が拡大しているという。 近年では法人を狙ったボイスフィッシングも増加しており、被害額が数億円規模に及ぶ深刻な被害が確認されているという。さらに、地方銀行をかたるケースも増加しており、北陸での発生を起点に、南下するような広がりが見られると指摘している。 ■ 今からできる詐欺にあわないための対策 同社は特殊詐欺の被害にあわないために日ごろから対策を徹底することを呼びかけ、年末年始に家族や知人など周囲への注意喚起や、対策方法の見直しを行うことを推奨している。また、迷惑電話対策サービスで、詐欺の可能性がある電話のフィルタリングができるとし、詐欺電話の対策として、次の3点を挙げている。 ・電話で「お金」や「キャッシュカード」の話が出たら、まず詐欺を疑う ・あやしいと感じたらすぐに電話を切り、家族や信頼できる人、最寄りの警察署、警察相談専用電話(#9110)などに相談する ・迷惑電話対策サービスを活用し、特殊詐欺や悪質商法などの電話を自動で遮断