フジテレビは賭博、三菱UFJは貸金庫窃盗 2025年不祥事の深層

2025年に大きな注目を浴びた企業の不祥事には共通点がある。それは、ごく普通の一社員が抱えるストレスや孤立、依存傾向といった、精神面での弱さが企業の信用を揺るがした点だ。 フジテレビのオンラインカジノ問題や三菱UFJ銀行の貸金庫窃盗、野村証券における放火強盗殺人未遂や詐欺事件、そして日本航空(JAL)のパイロット飲酒問題──。これらの不祥事の背景には、飲酒問題やギャンブル、金銭トラブルなど「個人の抱える悩み」があった。 これらがいつしか、不正や不祥事を引き起こす動機の一つとなっていた。自分を律することができなくなってしまった社員は、企業が考慮すべき大きなリスクの一つになったと言えるだろう。 ●フジテレビ「認識の甘さ」を反省 企業はこうした社員とどのように向き合っていけばいいのか、個人の弱さをどうサポートすべきなのか。25年は、そんな問いが企業に投げかけられた。 「正直、一連の騒動直後にまたこんなことが起きるとは思わず、『まさか』という思いだった」。25年6月、フジテレビの社員がオンラインカジノへの関与で逮捕されたニュースに触れた当時の心境を、コンプライアンス推進局長の吉田優子氏はこう振り返った。 1月には元タレントの中居正広氏と元女性社員とのトラブルを巡る問題が明るみに出て、同社の信頼は失墜していた。挽回を期して「再生・改革プロジェクト」を立ち上げていた最中に起こった社員の逮捕。まさに「泣きっ面に蜂」となった。 逮捕された社員は、これまで数々の人気番組を担当したバラエティ制作部企画担当部長だった。オンラインカジノで賭けた総額は約6億円で、抱えた借金は約2000万円に上るという。金額の大きさも相まって社員らは「なぜ気づけなかったのか」と困惑した。 吉田氏は原因について「認識の甘さがあった」と率直に分析する。

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