「追徴金は5億円前後になる」1.5億円脱税疑いのインフルエンサー 元国税局の税理士が指摘する手口の“悪質さ”と“実刑の可能性”

東京地検特捜部は12月25日、人気インフルエンサーで実業家の宮崎麗果こと黒木麗香被告(37)を、法人税法違反などの罪で在宅起訴した。 Instagramで47万人超のフォロワーを抱え、年商25億円の実業家として華やかな日常を発信していた宮崎氏だが、その裏では約1億5,700万円にのぼる巨額脱税が行われていた実態が明らかになった。 東京国税局の告発および特捜部の起訴内容によると、宮崎氏が代表を務める広告会社「Solarie(ソラリエ)」は、’21年1月期と’23年〜’24年1月期で約4億9,600万円の所得を圧縮したほか、法人税や消費税など計約1億5,700万円を脱税した疑いがもたれている。 脱税の手口は、本物の領収書「A勘」に対し、「B勘」と呼ばれる架空の領収書で、あたかも実際に取引があったかのように装うというもの。このニセの領収書を用意する「B勘屋」として、宮崎氏の知人の北島義彦氏(52)と相羽友介氏(44)も法人税法違反ほう助などの容疑で刑事告発された。 元国税局でプリエミネンス税務戦略事務所の税理士・佐藤弘幸氏は、宮崎氏の手口について「脱税ですのですべて“悪質”といえますが、事業規模に比べて脱税額は多いので“より悪質”」と指摘する。 「虚偽の領収書を作成し、業務委託費を架空計上したようです。しかも未払金としてなので、キックバック形式よりは幼稚で古い手口といえます。関与税理士がいれば、その方の能力に疑問符がつきます。支払先からクレームがきますので、ふつうは長年にわたり未払いはありえません。5億円の未払いが継続すれば不正を疑われて当然です」 宮崎氏はSNSを通じて《過少申告のご指摘を重く受け止め、深く反省しております》などと反省のコメントを発表したが、法的・経済的な責任は極めて重いようだ。 「脱税した場合に追徴されるのは、行政処分として『(1)本税(本来支払う必要があった税金)』『(2)重加算税(ペナルティ)本税×35%』『(3)延滞税 年利2.4~8.7%』が、さらに裁判で有罪の場合に『(4)罰金(本税の10%~30%程度)』が対象になります。 報道による約1億5000万円が『法人税及び地方法人税(国税)』の本税とすると、地方税(本税+加算金+延滞金)を加えた最終的な支払い総額は5億円前後になりそうです。消費税法違反でも起訴されていますのでプラスアルファとなります。実はこの計算は刑事罰の対象期間(3期)をベースにしてますが、行政処分は最長7期遡及しますので、総支払額はさらに増えるかもしれません」(佐藤氏) 5億円超のペナルティに加え、気になるのが刑事罰だが、佐藤氏は「脱税額が高額なので、初犯でも執行猶予がつくかどうか微妙」だという。 「初犯だと普通は反省の度合いによって執行猶予をつけるのが当たり前ですが、今回は5億円近いので初犯でもレッドゾーンというか、少し危ないと思います。ただし、逮捕されてないということは、もう完オチして執行猶予を見据えてすべてを認めているということだと思います」 不正に得た金は、会社の事業に使われるハイブランドバッグや高級車などの購入に充てていたとみられている宮崎氏。SNSで演じ続けた“ありのままの自分”の対価は、あまりにも重いーー。

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