長野3人殺傷「リレー捜査」が逮捕の決め手に、岩手・大船渡で平成以降最大の山林火災 東日本この1年 1~4月

間もなく終わりを迎える令和7年。東日本では、静岡県伊東市や前橋市で首長の資質が問われる出来事が相次ぎ、市政が混乱をきたした。国民的人気を誇った「ミスタープロ野球」の訃報で出身地は悲しみに包まれ、東北などで深刻化するクマ被害も秋以降は連日のように報じられた。この1年の東日本を3回に分けて4カ月ごとに振り返る。 ■1月 長野駅前で3人殺傷 1月22日、午後8時を過ぎたJR長野駅前のバス乗り場付近で男女3人が相次いで刃物で襲われ、1人が死亡、2人が重軽傷を負う事件が発生した。容疑者は夜の闇に紛れて現場から徒歩で逃走。犯人の行方が分からない状況に、市民らは不安と緊張に包まれた。 県警は付近の防犯カメラに映っていた容疑者の画像を公開し、市民に情報提供を呼びかけた。それがきっかけとなり、さらに鮮明な容疑者の姿が写りこんだ画像を入手。どこへ逃げたのか、どこからやってきたのか、各所の防犯カメラの映像などをつないで追跡する「リレー捜査」に生かされ、犯行現場から約3キロ離れたアパートに住む容疑者の男を割り出した。 県警は事件から4日後の26日朝、自宅に籠っていた男を逮捕。鑑定留置を経て、刑事責任が問えると判断した長野地検は8月18日、長野市の無職、矢口雄資(ゆうすけ)被告(47)を殺人と殺人未遂、銃刀法違反の罪で起訴した。 ■2月 岩手・大船渡で山林火災 岩手県大船渡市で2月26日に発生した山林火災は、記録的な降水量の少なさや初期段階の強風などで急激に規模を拡大し、同市が鎮火を宣言したのは発生から1カ月余りが経過した4月7日のことだった。最終的な延焼範囲は約3370ヘクタールに上り、平成以降で国内最大の山林火災となった。 男性1人が死亡し、住宅90棟を含む226棟の建物に被害が出た。この山林火災を受けて対策などを議論してきた総務省消防庁の検討会が8月に公表した報告書では出火原因について、まきストーブの煙突から飛んだ火の粉による可能性が相対的に高いとしつつ、具体的な発火源などの特定には至らなかったとした。 大船渡市が12月に発表した被害額は合計で102億1122万円。主な内訳は森林被害など林業関係が72億3223万円、水産業関係が20億9754万円、商工・観光業関係が5億3156万円と、影響は広範囲に及んだ。生活やなりわいの再建、森林復旧などの取り組みはこれからも続く。

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