ウクライナ情勢を巡る緊張が高まっている。米、英、フランスが相次いで自国製兵器によるウクライナのロシア領攻撃を容認。これをレッドライン(越えてはならない一線)としてきたロシアは反発、核ドクトリン改定や新型中距離ミサイル発射で核の威嚇を強める。核使用につながりかねないロシアのレッドラインは実際に、どこにあるのだろうか。(共同通信=太田清) ▽駆け込み支援 バイデン米大統領は11月17日までに、ウクライナに米国製長射程兵器を使ったロシア領攻撃を容認。その後、ロシア西部ブリャンスク州の軍事施設に米国製の地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」による攻撃が行われた。 ロシアでは、11月の米大統領選でハリス副大統領が敗北したことを受けバイデン政権が、早期停戦を主張するトランプ次期大統領就任前に駆け込みでウクライナ支援を強化、次期政権の今後の対ロ政策を妨害しているとの見方が強い。 ロシアの政権与党「統一ロシア」のセルゲイ・コルノフ下院議員は11月17日、ロシア通信に対し、米国が自国製兵器によるロシア領内攻撃を認めたことについて「バイデン政権は残された数カ月を使い、トランプ次期大統領の今後の対ロ交渉を複雑にし、国際情勢を緊迫化させるためにあらゆる手段を講じている」と批判。